N-PDF導入のためのQ&A

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N-PDFとは何か

    PDFとはAdobe社が開発した電子文書のためのフォーマットです。2008年7月にISO等世界標準規格に採用され、文書ファイルの標準フォーマットとして世界的に普及しています。N-PDFは、12年に日本新聞協会と日本広告業協会が、新聞広告に特化した規格として策定しました。PDF規格の中で、印刷用として作成されたPDF/X-1a形式をベースにしています。N-PDF原稿制作に関しては、「新聞広告デジタル制作ガイドN-PDF ver1.1(2012)」(日本広告業協会内のホームページ  http://www.jaaa.ne.jp/activity/committee_result/committee_result05/ )をご参照ください。

N-PDFとEPSの違い

    N-PDFのベースとなっているPDFには、次のような特長があります。
    ・データが堅牢=EPS原稿では、リンク切れで画像が表示されない、広告枠外の不要データまで認識してしまうといったデータエラーが起きていましたが、PDFではこうしたエラーは発生しません。また、PDFでは制作者がAdobe Acrobat Proを使用してプリフライトチェックを行うことができるため、EPSに比べデータエラーが格段に減少します。
    ・データ容量が小さい=画像の圧縮率が高くデータ容量が小さくなるため、オンライン送稿に適しています。

2018年末までにN-PDFの受け入れを求める理由は

    現在、新聞広告のEPS制作基準となっている「制作ガイドバージョン2.0」(日本新聞協会と日本広告業協会が新聞広告に特化した規格として2007年に策定)は、IllustratorCS2をベースにしています。その後、Illustratorが頻繁にバージョンアップしたため、各バージョンでのEPSの再現性検証を追従して行うことは困難です。さらに、印刷業界全体が原稿流通のためのフォーマットをPDFに移行したため、日本新聞協会と日本広告業協会は、IllustratorCS3以上のバージョンに対応した新たなEPS制作基準を作成することは現実的に難しいと判断し、PDFへの移行を推進することを決定しました。
    デジタルセンド社のEPSチェックシステム(DSチェッカー2008)は、業界の基準「制作ガイドバージョン2.0」に則しているかをチェックするものであり、IllustratorCS2までのバージョンにのみ対応しています。しかしながら、発売から10年以上経過してAdobe社のサポートも終了し、製版/制作会社でCS2の環境を維持することは、ソフトウェア、ハードウェアともに非常に困難な状況に陥っています。2018年にはハードウェアの代替機もなくなり、制作環境が維持できなくなると予測されています。
    そのため、日本広告業協会や日本新聞広告製版会から、日本新聞協会に対してPDF移行を進めるよう要請が届いています。

N-PDFを導入することによる新聞社のメリットは

    EPS原稿は、Illustratorなど特定のアプリケーションでなければ原稿イメージを表示することができませんが、PDF原稿であれば、Adobe Acrobat Reader(無料)をインストールしてあるPCで容易に原稿を見ることができます。
    PDFの場合、Adobe Acrobat Proを使えば、フォントの有無や画像解像度、UCR値などを事前にチェックすることが可能です。これにより、入稿時のエラーを未然に防ぎ、掲載作業を短縮することができます。
    また、入稿データをRIP処理する過程で起きるトラブルは、EPSデータと比べて少なく、安定していると言われています。メール等でやり取りする際も、EPSのようにデコード時に不要なデータが付加されることもないようです。

広告主や制作会社側にはどのようなメリットがあるか

    一般的に広告主は、PDF/EPSのどちらの規格で送稿しても、掲載結果が同一であれば品質についての問題はない、という立場です。ただし複数の新聞社に出稿する場合、複数のファイル形式で原稿を制作することは非効率的で、経費が高くなることもあります。日本新聞協会では、新聞広告をより使いやすくするためにN-SIZE(原稿サイズ)、NSAC(色見本基準)と同様に、原稿制作手順をN-PDFに統一していくことが広告主メリットにつながると考えています。

N-PDFを受け入れるにはどうすればよいか

    自社の製作システムがPDFに対応しているか、ワークフローの変更が必要かなどを確認します。まず自社のシステム担当者、メーカーと相談してください。また、広告会社や制作会社との調整がスムーズに行くかなど、大まかなプランを立てる必要があります。 →詳しくは導入編

PDFに対応するためにシステムを更新する場合、どのくらいの費用がかかるのか

    現在、各新聞社で導入されているシステム構成や、開発目的・規模により、開発費用は異なります。ただしRIPに関しては、内部解析機能の違いはありますが、各新聞社で現在導入されている機種のほとんどはPDFに対応していると思われます。自社のRIPをPDFに対応させるだけであれば、設定変更だけで可能なケースもあり、それほど費用はかかりません。
    PDFとEPSの並行運用の問題についても、各新聞社のシステム構成と運用の考え方により大きく異なりますので、一概に言うことはできません。各社のシステム担当者、メーカーとの検討が必要です。

どのくらいの新聞社がN-PDFに対応済みなのか。N-PDFでの入稿は増えているのか

    新聞社のN-PDF対応は着実に増加しており、一部受け入れ可能な社も含めると、新聞協会加盟96社中半数を超える54社が対応済みです(2017年8月現在)。16年7月からの約1年で新たに16社が対応しました。それに伴い、広告会社からのPDF送稿も増加しています。以前はEPSしか受け入れない社があれば、全社にEPS原稿を送稿していましたが、電通、博報堂、アサツー ディ・ケイなどの大手広告会社では、PDFを優先的に作成し、EPSが必要な場合は別途作成するという対応をとっています。

自社のRIPがN-PDFに対応しているかどうかが分からない。メーカーによる差はないのか

    N-PDFは印刷用PDFの基準の一つであるPDF/X-1a形式に準拠しています。X-1a形式はPDFのバージョンでは1.3にあたります。RIPがPDFのバージョン1.3に対応しているかをご確認ください。なお詳細はRIPメーカーへお問い合わせください。RIPメーカーによる差は特にありません。網点の形状や線数などRIPの設定の違いにより印刷結果に差が出る可能性がありますが、これはEPS入稿も同じです。

原稿掲載時の拡縮は問題にならないか

    PDFをRIPできるシステムであれば、EPSと同じように拡縮できるはずです。また、拡縮によって品質に影響が出ることはありません。※拡縮については、日本新聞協会推奨制作サイズ「N-SIZE」のサイト( http://www.pressnet.or.jp/adarc/edi/nsize.html )も参照してください。

原稿内容の審査、確認ゲラの扱いなど、ワークフローはどうなるのか

    PDF入稿することで広告内容の審査方法を変える必要はありません。オンライン入稿の場合は、原稿PDFとともに念校TIFFを送る運用にすればワークフローを変える必要はありません。また、CD等のオフライン媒体入稿の場合は、EPSと同様に紙ベースの念校の運用が可能です。PDF入稿によりワークフローが簡略化できたケースもありますので、個別の事例については新聞協会広告担当( koukoku@pressnet.or.jp )までお問い合わせください。

緊急時の原稿修正は、どのように行うのか

    原稿修正は広告制作者が行い、再入稿することが原則です。ファイル形式の違いにかかわらず、異なる制作環境で修正すると、意図せぬ変化が生じる可能性があるためです。緊急時には、PDFはデータ容量が小さいのでメール添付もできるため、再入稿時間を短縮できるケースがあります。再入稿が難しいときは、EPSの場合と同様に、RIP後の二値化した画像をPhotoshop等で修正したり、原稿データの作りが複雑でなければIllustratorで修正したりすることも可能です。

オンライン入稿時のセキュリティー、各社で利用しているサービスなどについて知りたい

    セキュリティー対策としては、ウイルスを常に監視するソフトの導入、SSL-VPN接続によるサーバー端末間の通信暗号化、ネットワーク機器によるリバースプロキシ方式の採用などが挙げられます。商用サービスとして利用されているのは、デジタルセンドやG-TRAXなどですが、自社でWeb入稿システムを立ち上げている社もあります。
    なお、N-PDFの導入に際して、オンライン入稿の環境は必ずしも必要ではありません。大切なのはN-PDFを導入できる態勢を整えることです。オンライン入稿の環境を整備するのは、別の機会でも大丈夫です。

PDFに特有のトラブルはあるか

    運用上の問題点として、データを修正することが困難なことが挙げられます。ただし、広告原稿の修正は、あくまでも制作側からの再入稿が原則です(新聞社内での修正が想定される場合についてのみ、EPSで入稿する方法も選択肢としてあります)。

プリフライトチェックとは何か

    入稿用PDFデータを、事前にチェックすることです。Adobe Acrobat Proを使うことによって、制作者レベルでデータのチェックが行えるため、入稿後のデータエラーを未然に防ぐことができます。入稿データの確実性向上は、広告会社、制作会社、新聞社の全てにとって作業の効率化に直結します。

EPSからPDFになると、新聞紙面での再現性に差は出るのか

    「新聞広告デジタル制作ガイド N-PDF ver.1.1 (2012)」に記載されている「制作ルール」および「PDFのプリフライト」に準拠すれば、紙面での再現性に差が出ることはありません。各社でPDF入稿規定を策定している場合でも、その規定が新聞広告デジタル制作ガイドに準拠したものであれば、再現性に差が出ることは、もちろんありません。

広告会社・制作会社との調整や周知方法などはどうしたらよいか

    先行導入社の事例から以下のような方法が挙げられます。
    まずは、原稿をPDFで保存、入稿してもらうことが大事です。具体的には「原稿を保存するタイミングでEPS形式ではなく、プリセットを選択しPDF保存してみてください」とアドバイスするだけで、入稿可能なPDFデータが作成できたケースもあります。
    また、以下のような調整、周知方法が挙げられます。
    PDF入稿の導入スケジュールとPDFの必要性を記載した文書を作成し告知します。告知後、広告会社・制作会社への説明会を開催しPDF入稿に関する質疑応答の場面を設けたり、事前ヒアリング(実現可能か否か、実現不可能な場合はその解決策等)を実施したりすることで、導入がスムーズになると思われます。
    ・PDF入稿受け入れを開始(EPS入稿にも対応)の場合
    PDF入稿の導入スケジュールとPDF入稿の方法(マニュアル)文書を作成⇒広告会社・制作会社へ告知⇒状況に応じて説明会開催や個別説明で周知し入稿率を上げる。
    ・全面的なEPS⇒PDFへの切り替えの場合
    あらかじめ余裕をもって制作会社・広告会社へのヒアリングを行い、入稿方式の変更について理解を得る⇒移行スケジュールや入稿マニュアルなどを作成し関係者を網羅した説明会を開催⇒ある程度の期間をもって完全移行を目指す。

導入に関わる人員もノウハウも不足している。導入検討の際にどこか相談に乗ってもらえるところはないか

    新聞協会の広告EDI部会( koukoku@pressnet.or.jp )まで問い合わせいただければ、可能な範囲で先行導入社の事例を紹介できます。各社の運用方法が違うこともありますので、複数社からの意見や考えがあれば、よりよいノウハウが得られるのではないかと思われます。
    その他、日本広告業協会の「新聞広告デジタル制作ガイド(N-PDF)」や新聞協会サイト( http://www.pressnet.or.jp/adarc/edi/edisearch.html? )から、各新聞社の入稿規定を閲覧することができますのでご活用ください。

N-PDFの規格や原稿制作・入稿の際のマニュアルが欲しい

N-PDFでは、モノクロ原稿は一度透明分解し、グレースケール変換する必要がある。この場合のワークフローの基準は

    モノクロPDF原稿をAdobe Acrobatでプリフライトチェックした際に、モノクロの素材しか使用していないにもかかわらずグレースケール以外の色が使われているとのエラーが出ることがあります。Illustratorの効果を使用した場合などにそのような現象が発生します。このエラーを原稿で修正する際は、「新聞広告デジタル制作ガイド N-PDF ver.1.1 (2012)」に「制作ルール モノクロ原稿の確認・グレースケール化」として対応方法が記載されていますのでご参照ください。

Adobe社のCS2が経年問題で支障が出ているのと同様、PDFでもバージョンが上がるごとに問題にならないか。対応策は

    PDFにはさまざまな規格が存在しますが、N-PDFはISOの印刷用規格PDF/X-1aをベースに日本の新聞印刷用に数値設定したものです。ISO規格を基にしているため、PDF書き出しに使用している個別ソフトウェアのバージョンアップには影響を受けません。

集版が必要な原稿で、EPSとPDFが混在する際の対処法を知りたい

    集版するソフトウェアにより一概に言えませんが、Adobe IllustratorやInDesignでは混在して集版作業を行っている例があります。素材として同じように使用可能ですが、PDFでエラーが起きるケースではEPSにしてエラーを回避できる場合もあります。また、TIFF形式でRIPされたデータを集版すれば問題は生じません。

EPSとPDFの並行運用を行う際の注意点は

    完全広告原稿を新聞社側で扱う際は、EPSとPDFで違いはありません。ただし、下記のようなケースで原稿制作手順に注意が必要です。
    ・外枠線:EPS保存では気にすることはありませんでしたが、PDF入稿ではアートボードの内側が実データ領域になります。ほとんどのデータには外枠があり、外枠線を引く場合、デフォルトが線の中央になっているのでそのままPDF保存すると線の太さが半分になります。回避するためには線設定を内側に変更する、もしくは外枠罫を「パスのアウトライン化」し、外側の罫とアートボードサイズを合わせます。
    ・保存:EPS保存時はバージョンを下げたりしなければ再度開いても問題なく修正できます。入稿用PDFは透明効果など分割されることが多々あります。必ずデータを「AI」形式でも保存しておいてください。
     なお、EPSは一般的に使われているIllustratorやPhotoshopなどのソフトウェアがないと原稿内容が確認できませんが、PDFは無料ソフトのAdobe Acrobat Readerを使って、一般のPCで目視することができます。

EPS原稿をPDFで保存する際に必要なオプションはあるか

    新聞広告原稿PDF(N-PDF)として書き出すための設定ファイルを日本広告業協会のホームページで配布しています。Illustrator等に設定ファイル(Adobe PDFプリセット)を読み込み、PDF書き出し時に、PDF書き出しプリセット(N-PDF201207)を選択してください。また同時にダウンロードしたプリフライトプロファイルをAdobe Acrobat Proのプリフライトに取り込むと、N-PDF用プリフライトチェックが可能になります。詳しくは「新聞広告デジタル制作ガイド N-PDF ver.1.1 (2012)」をご参照ください。

今後、PDF/X-4への対応は必要なのか

    現在のN-PDFは印刷用の規格PDF/X-1aを基に策定されましたが、より新しいPDF/X-4規格では透明効果を分割・統合せずにPDFを運用できます。PDF/X-4は透明効果を元データのままRIP処理するため、データ量が少なくなり処理負荷軽減や安全性向上が期待されます。RIP装置自体はソフトウェアのバージョンアップや装置の更新によりPDF/X-4に対応していくと思われますが、新聞協会としても日本広告業協会と協議し、新聞広告用PDFとしての設定内容などを検証していく必要があると考えています。