大学生座談会

就活をきっかけに新聞の公共的役割を学ぶ

大学生座談会

就活をきっかけに新聞の公共的役割を学ぶ

コミュニケーションのきっかけ

司会

さまざまな新聞の活用法が学生の皆さんから挙げられました。新聞社のお二人はどのような感想を持たれましたか。また、何かアドバイスやご意見はありますか。

小菅

皆さん、与えられた記事を読むだけでなく、書き写したり、スクラップしたり、能動的に活用しているところが良いですね。新聞のさまざまな記事の中で、まず参考にしてもらいたいのが社説。各新聞社の主張を分かりやすく伝えるため、一話完結でコンパクトにまとめています。また一問一答形式の解説欄など、皆さんがいま知らなければならない大切なことをわかりやすく解説しているので、自分で文章を書く際など、ぜひ参考にしてほしいと思います。

鳥山

記事をスクラップしているうちに自分の興味が見つかる。そんなふうに新聞を活用してくれるのはうれしいですね。牧野さんが活用している記事データベースは、新聞社が蓄積してきた膨大な記事情報の中から、効率的に関心のある記事を引き出せるツールです。普段は、インターネットで情報を集める機会が多いと思いますが、インターネットは気軽に情報を引き出せる点は便利でも、ニセ情報やなりすましなど、注意が必要なケースもあります。また、自分の興味や関心に基づいた情報収集になってしまい、いま隣の人がどういったことを考えているか、何を知らなければならないのかという点に目が届かなくなりがちです。

一方で新聞記事は、記者が時間をかけた取材を行い、内容についても入念なチェックを経ているため、世論調査などでも信頼性が評価されています。また、一覧性があるため、さまざまな情報に触れることができます。皆さんにとって、正確で深掘りされた情報を幅広く知ることで社会とつながり、自分のベースとなる考え方を組み立てることは、きっと面接やグループディスカッションにおいて強力な武器になるのではと思います。

山口

複数の新聞を読み比べていると、同じニュースでも扱い方や視点が違うことに気づきます。これが新聞社の価値判断であり、新聞の良さでもあると思っています。

小菅

例えばいま、消費税増税の是非を新聞各社が主張しています。他にもさまざまな問題があります。こうした問題を扱った記事は、皆さんがこの国を少しでも良くしようと真剣に考え、政治に参加する際の判断基準にもなります。新聞は民主主義を支える上で重要な情報源と言えるのです。

五十幡

東日本大震災の際、ライフラインが危うい中、新聞が届いて安心したという話を聞いたことがあります。それまでは自宅にあるのが当たり前という存在でしたが、緊急時にも全国隅々まで届けられ、生活に密着した新聞に高い公共性を感じました。私もそうした記事を読んで、就活中、温かい気持ちになったり、励まされたりしました。

戸田

私も以前、ある新聞で、アメリカのある地域で新聞が休刊になり、長い間行政を取材する記者がいなかったため、汚職が進んでしまったという記事を読んで、記者がどういう存在で、地域にどれだけ必要とされているかということを考えました。同時に全国紙だけではなく、地方紙の役割についても再認識するきっかけとなりました。

牧野

私も同感です。新聞は問題提起を行うことで権力への監視役という重要な役割も負っており、社会の秩序を守る上で不可欠な存在ですね。

山口

私は北海道出身ですが、地元紙にはあまり関心がありませんでした。でも祖母がローカルニュースやお悔やみ欄を熱心に読んでいる姿を見て、地元の情報をその土地の人たちが共有し、地域の人とのコミュニケーションのきっかけになっているんだと気づいてからは、見方が変わりました。