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内山斉会長年頭あいさつ 報道の使命 重さ増す 教育での新聞活用を支援

 2011年の年頭にあたり、全国の報道関係者の皆様に謹んで新年のごあいさつを申し上げます。

 政治、経済を見渡しますと、新しい年は混迷の中で迎えたと言わざるを得ません。昨年、鳩山政権が僅か8か月半で退陣した後、菅政権も7月の参院選に大敗し、政権基盤の弱体化が進みました。この結果、待ったなしの財政再建や環太平洋経済連携協定(TPP)への対応、普天間基地の移設問題など、多くの重要な政策課題に解決の道筋が示されておりません。

 日本経済の先行きも、依然として楽観できません。景気回復を本格化させるには、政治の安定と強い指導力に裏付けられた確かな成長戦略が不可欠です。

 世界に目を転じれば、昨年は内部告発サイト・ウィキリークスによる機密情報の暴露が大きな問題となりました。その内容に注目が集まったきっかけは、同サイトから提供を受けた米・英・独紙が共同で情報を分析し、同時公開したことです。その中身の是非はともかく、ネット上で膨大な情報が飛び交う時代だからこそ、新聞の持つ分析・解説力、そしてプライバシーや公益に配慮した適正な報道姿勢の重要さが見直されたことは間違いありません。

 こうしたことからも、報道機関に課せられた「権力を監視し、国民の知る権利に応える」という使命は、ますます重さを増しています。公正で活発な報道・言論活動に対する国民の期待も、一層高まっていると言えます。

 新しい学習指導要領に基づき、今春から小学校で、幅広い分野に新聞の活用を盛り込んだ新たな教科書が登場します。新聞界は、これまでもNIE(教育に新聞を)活動などを通じて新聞を使った教育の効用を説いてきましたが、新学習指導要領にこうした考えを全面的に取り入れた文部科学省ならびに教育関係者の皆様に深く敬意を表します。

 新聞協会では、新しい小学校教科書の内容に沿った教師向けのNIEガイドブックを2月に刊行する方針です。また、来春以降の中学校、高校の新しい教科書に向けても、順次、同様のガイドブックを作ることにしています。

 教育のなかで新聞活用が重視される流れを確固たるものとするために、今後も教育委員会などと連携を図り、各地でのNIEセミナー開催などを積極的に支援してまいります。

 国民読書年だった昨年は、活字文化議員連盟や文字・活字文化推進機構のご尽力もあり、年末の補正予算に、学校図書館の図書充実などを目的とした地域活性化交付金が盛り込まれました。新聞協会は、この予算措置に対応して、都道府県の教育委員会などに新聞の積極活用に向けた環境整備の充実を改めて要請してまいります。

 NIE活動の拠点でもある日本新聞博物館(横浜市)は、開館10周年の昨年末に来館者数が延べ58万人を超えました。博物館を運営する日本新聞教育文化財団は、新公益法人制度の下で日本新聞協会と合併する方針ですが、博物館は今後も、新聞文化の発展と伝承を担う使命を果たし続けていきます。

 新聞が言論の自由を享受し、公共的使命を果たすためには、安定した経営が不可欠です。戸別配達の堅持と著作物再販制度はその要諦であり、民主主義を機能させる社会システムでもあります。

 そのうえで、新聞協会としても、読んで幸せな気分になった新聞記事を募る「HAPPY NEWS キャンペーン」や、新聞の魅力を多くの人に知ってもらう無購読者対策を通じて、新聞の普及促進に尽くしていく所存です。

 関西および福岡・山口両地区での販売正常化の推進は、昨年9月に大阪で第2回関西販売正常化推進会議を開催し、さらなる推進策を講じることで各社が合意しました。福岡・山口地区の第2回推進会議は今年2月9日に福岡で開催します。どちらも、発行本社が責任をもって正常化を進めていくことを明言し、定期的なチェック体制を整えるなど、不退転の決意で取り組んでいます。

 新聞の広告収入は依然として厳しい情勢が続いていますが、昨年は新聞協会が「日本を元気にする」をテーマに、3回にわたって協会加盟紙に同じ広告を一斉掲載するキャンペーン企画に取り組みました。その反響の大きさからも、新聞広告の潜在力を再認識することができました。今後とも加盟各社が創意を凝らし、新たな広告需要を掘り起こしていくことが期待されます。

 今年は、国民生活にとって、また新聞経営にも大きな影響を与える問題である消費税率引き上げの議論が活発化することが予想されます。新聞協会は、今後予想される税率引き上げに際し、欧州諸国で広く導入されている新聞購読料への軽減税率の適用を求めています。協会では1月中下旬にかけて、10以上の協会加盟社から参加を得て、欧州各国に調査団を派遣します。日本では新聞が、欧州にも増して国民生活に深く根付いており、極めて公共性の高い商品です。税制改正では、こうした新聞の特性を踏まえた施策を求めてまいります。

 新しい年が実り多き一年となるよう願いますとともに、皆様のご健勝と各社のご発展をお祈り申し上げ、年頭のごあいさつとさせていただきます。

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