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「橋下市長と報道」で議論 北大大学院中島岳志准教授 熟議の空間作りが重要 マス倫合同会議

 関西地区マスコミ倫理懇談会と「メディアと法」研究会の合同会議が7月25日、「橋下徹大阪市長とメディア」をテーマに大阪・梅田の毎日インテシオで開かれた。北大大学院の中島岳志准教授の基調報告に続き、現場で取材する朝日大阪、読売テレビの記者から、橋下市長の人物像やメディアはどう報じるべきかなどについて報告があった。

 中島准教授は「世論の政治家・橋下徹とメディア」と題し講演。橋下市長が支持される理由について、既成政党への不信が拡大する中、「救世主待望論」として、物事を断言する政治家への期待が高まっていると説明した。この風潮が広まり始めたのは1995年ではないかと分析。阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件が発生し、バブル経済や戦後という時代の終わりを日本人が実感したこの年、小林よしのり氏の「ゴーマニズム宣言」が大ヒットするなど、断言型の言説が支持を集めるようになった。メディアもまた問題を単純化して伝えるようになっていったと話した。

 また、小泉純一郎内閣以降の支持率について、おおむね発足当初は歴代10位以内に入っている点を指摘。にもかかわらず、近年の内閣が短命であることから、世論が「ジェットコースター化している」と述べた。

 こうした点を踏まえて橋下氏について、特定のイデオロギーではなく「常に多数者の側に立つ」と指摘。その上で民主主義は「多数者の専制」ではないとして、国民がメディアを的確に批評し、共に「熟議の空間」を作り上げていくことが重要だと訴えた。

 次に橋下氏の番記者を4年半務めた読売テレビの野村明大神戸支局長が講演。各社の中で最も長く間近で見てきた記者として、その人物像を話した。

 橋下氏の「常識にとらわれない」「嘘つき」「戦略家」「右翼的」などの世間からのイメージについて、エピソードを交えて解説した。また、橋下氏の長所として「明確な論理」「オープン」「タフさ」を挙げた。

 続く朝日大阪の前田史郎論説委員は、橋下氏が明確な国家観を語らず、問題の奥深くまで入り込むのを避けていると指摘。学校での君が代斉唱などを例に、「ルールはルールだから」との分かりやすい理屈を盾にとっていると述べた。

 また、メディアの側もしばしば橋下氏に批判され、読者からも非難される現状を踏まえた上で、卑屈になる必要はなく、「記事が読者に響かない理由を考えなければならない」と強調。橋下氏の一方的な会見にならないよう、記者も課題について勉強する必要があるとした。さらに、橋下氏への支持を生み出す「民意の深層に迫らなければならない」と話した。

 参加者からは、週刊誌で報道された橋下氏の出自が与えた影響について質問があった。中島氏は「彼の自己責任などを強調する発言は、貧困の中から努力して成功した者の典型」と話した。その上で、中間層の他に言わば「負の平等」を求める貧困層が、橋下氏が目指す「グレートリセット」を支持しているとした。

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