1. 日本新聞協会トップページ
  2. すべてのヘッドライン
  3. 新聞協会ニュース
  4. 東日本大震災の教訓生かす NHK・松坂千尋氏、災害報道と備えを説明 マス倫懇月例会

東日本大震災の教訓生かす NHK・松坂千尋氏、災害報道と備えを説明 マス倫懇月例会

 東京地区マスコミ倫理懇談会の9月例会が10日、新聞協会会議室で開かれ、NHK報道局の松坂千尋編集主幹が「災害報道にいかに東日本大震災の教訓を生かすか」と題し講演した。大震災の経験を踏まえたNHKの新たな災害報道と備えについて説明した。

 震災では地震発生から沿岸部への津波到達まで、早いところで約30分かかった。NHKは放送を通じ避難を呼び掛けたが、松坂氏は「もっとできることがあったのではないか」と振り返る。この反省からNHKは昨年11月、災害発生直後の報道を減災に結びつくよう変えた。

 大津波警報などの場合、「今すぐ逃げてください」といった一層危機感を高める表現に改める。ワンセグなど小画面での視聴も広がっている実態を踏まえ、避難を呼び掛けるテロップの表示も大きくした。

 発生後数日は、「生き延びた命をどう救うか、生活に役立つ放送が求められる」。今回のような広域災害では、どうしても報道されやすい地域、されにくい地域が生じてしまうが、「情報がない地域こそ危機的」との観点で報道する必要があるという。

 また、「情報が流れる」テレビは、地域ごとの食料や燃料の状況といった細かな情報をピンポイントで伝えづらい。総合テレビ、教育テレビ、データ放送、ウェブサイトで役割を分担していくという。

 福島第一原発事故で、報道機関は「政府や東京電力の情報を垂れ流している」といった批判を受けた。松坂氏も原発報道について、問題を分かりやすく、多角的に提示する姿勢が必要だと説く。その上で、「分からないことは分からない、精度が完全ではないと断った上で伝えなければならない」と話した。

 首都圏直下型地震や南海トラフ巨大地震など、今後の大災害にも備えが必要だ。松坂氏が「最悪のケースも想定し、対応を具体的に考えなければならない」と話すように、NHKは東京・渋谷の放送センターから放送できない場合に備え、大阪放送局の代替機能を強めた。訓練も毎日実施しているという。

 参加者からは、媒体の使い分けなどについて質問があった。松坂氏は、今回の震災では各媒体の担当者が自然発生的にそれぞれ、発信に取り組んでいったとした上で、「大災害の報道は自社だけでは完結できない。他メディアとの連携もこれまで以上に進める必要があるのではないか」と述べた。

ページの先頭へ