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「忘れられる権利」で講演 一橋大・堀部政男名誉教授 各国の状況を紹介 マス倫研究会

 マスコミ倫理懇談会全国協議会の第11期2回「メディアと法」研究会が10月1日、新聞協会会議室で開かれ、一橋大の堀部政男名誉教授が「『忘れられる権利』と表現の自由―プライバシー・個人情報保護の世界地図と日本」と題し講演した。主に欧州での個人情報保護に関する傾向を説明した上で、近年注目される「忘れられる権利」について解説した。

 堀部氏は日本の現状について、「欧州から見て、プライバシーや個人情報が十分に保護されているとは考えられていない」と指摘する。日本の制度は経済協力開発機構(OECD)のガイドラインに準拠しているものの、公的な第三者機関の設置などを求めるEUの基準を満たしていない。そのため、EUから日本へデータを移すに当たっては本人の同意などを得なければならず、日本企業は弁護士費用などで大きな負担を強いられている。何よりも大きな課題は「この問題について、日本では認識すらないこと」だという。

 プライバシーは1960年代以降、コンピューターの発展に伴い「自己情報コントロール権」としての捉え方が広まった。さらにインターネットの発達で情報が瞬時に移動し、削除されずに蓄積し続けるようになった。社会復帰した受刑者が、前科の公表に異議を唱えるなどの例があり、欧州で「忘れられる権利」が議論されるようになった。

 こうした考えを受けて、EUが現在検討しているデータ保護規則案では、忘れられる権利を明文化した。表現の自由に関わる場合などを除き、個人データの削除と流通停止をデータ管理者に求め得るといった内容だ。そのほか米国でも連邦取引委員会が行動ターゲット広告などを念頭に、「追跡拒否」を掲げているなどとして、各国の現状を紹介した。

 参加者からは、忘れられる権利に関する罰則や監視する第三者機関などについて質問があった。堀部氏は、日本では個人情報の保護を進めると表現の自由への規制が強まるとの懸念があるとした上で、「欧州では第三者機関が対立利益の調整を図っている」と話した。 

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