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取材時のエピソード語る 新聞協会賞受賞記者らが講演会 ニュースパーク

 新聞博物館(横浜市、ニュースパーク)で10月20日、平成24年度新聞協会賞を受賞した記者らによる講演会が開かれた。編集部門で受賞した5人が、取材の苦労や当時のエピソードを語った。105人が参加した。

 読売東京の早坂学社会部主任は、「証拠開示の問題や強引な取り調べなど、いろいろ考えさせられた。刑事司法全体が見直されなければならない」と取材を振り返った。メディアについては「もっと厳しくチェックする姿勢が求められていると感じる。問題を見つけたときに勇気を持って書くことが大切だ」と述べた。

 中国・総合編集本部映像部の高橋洋史氏は、「閉鎖性海域である瀬戸内海は見通しが悪く、3メートルも潜れば緑色の世界だ。不用意に近付くと逃げる魚もいるので、カメラを遠隔操作して撮影したこともある」と、海中撮影の苦労を語った。干潟でカメラのボディーを砂に埋めてカニの目線で撮影したり、山で木に隠れながら鳥を撮影したりした。自然に紛れて取材する中で、「身近にいるのに知らなかった生物が、いつの間にか姿を消していく」と、環境の変化を感じたという。

 朝日東京の宮﨑知己特別報道部次長は、東京電力福島第一原発事故の半年後に連載を始めることになり、最初は何を書けばよいのか悩んだという。一緒に協会賞を受賞した依光隆明特別報道センター長(現編集委員)が福島から戻ってきた時に、「壮大なうそに包まれている感じがする」と言ったことで迷いがなくなった。「発表と見てきたことが違うなら、現場を伝えようと考えた」

 福島民報の佐藤光俊編集局長は、地元紙にとっても原発事故は想定外だったと当時を振り返った。「原発事故の一報は、わずか4段の扱いだった。安全神話に浸っていた象徴のような紙面だ」と悔やむ。その反省から、被災者の目線に寄り添った報道を続けなければならないと編集局一同、肝に銘じているという。「多岐にわたる読者の要望に応えるとともに、事故を冷静に検証し、今後のエネルギー政策を語らなければならない」と地元紙の役割を語った。

 長崎の森永玲報道部統括部長は、取材対象との対話を繰り返したと強調した。「当初は昨年の元日に連載を始める予定だったが、新聞に出たくないと拒否される事例が多かった。本人が了承しても、家族が反対することもあった」ことから、結局7月開始となった。しかし、「ほとんどの人が記者との対話に真摯(しんし)に応じてくれた。仕事がない、障害があるというようなことは重大なプライバシーだが、社会に問うていく問題だと説得した」と話し、「もし記事に訴える力があるとすれば、彼らが真摯に取材に応じ、生身の姿を見せてくれたからだ」と強調した。 

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