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「既存の考え方、通用しない」 福島民報・早川氏 震災2年の報道で講演 マス倫懇月例会

 東京地区マスコミ倫理懇談会の3月例会が15日、東京・内幸町の日本記者クラブ会議室で開かれ、福島民報社の早川正也報道部長が「『3・11』から2年―福島の現状と課題」と題し講演した。福島第一原発事故の取材について、「既存の災害報道の考え方は通用しない。パターン化しないよう一人一人が考えるしかない」と語った。

 福島の現況について早川氏は、「何も変わっていない。異常事態が固定化している」と話す。15万人余りの福島県民が、今も避難生活を送っている。原発事故による避難区域は再編され、一部の地域は住めるようになった。しかし、経済的に密接だった隣の自治体が避難区域のままで生活圏が成立しないといった問題があり、住民の帰還は進んでいない。

 仮設住宅などの避難先で死に至る「原発事故関連死」が今、相次いでいる。県では津波などによる直接死を含めた死者全体のうち、関連死者数が4割を占める。取材する中で、「こんな所で死にたくない」との被災者の声も聞く。「仮の町」についても、現状は復興庁が掲げる目標から大きく遅れている。除染も進まず、若年層ほど帰還への意思は低くなりつつある。

 閉塞(へいそく)状況が続く中、いわき市では津波による被災者と、原発事故による双葉町などからの避難者との間であつれきが表面化しつつある。早川氏は、「避難者からの一方的な視点で書くと、いわき市民が悪者になってしまう。全体の状況にまで踏み込まず、目に見えたことだけ書いても真実は伝わらない」と強調した。

 参加者からは、他地域のメディアに希望することについて質問があった。早川氏は、在京メディアが関東への避難者に取材し、「福島には戻れない」などと報じることを例に、「われわれは今も福島に住む195万人に軸足を置く。彼らがこうした報道を目にした時、どう思うかまで考えなければならない」と答えた。

ネット倫理研が4月末に報告書

 マスコミ倫理懇談会全国協議会の「ネット時代の報道倫理研究会」が3月14日、新聞協会会議室で開かれた。今回を区切りとして4月末までに報告書をまとめ、5月には報告会の開催を検討している。

 2012年10月の発足から計7回の会合を持ち、ソーシャルメディアの発達がマスメディアの報道に与える影響などについて議論してきた。

 当日は、元共同通信社専務理事編集主幹の原寿雄氏を招き、今までの議論を踏まえ、昨今の報道倫理をめぐる課題を聞いた。原氏はインターネット上のマスコミ批判について、「報道の役割を知ってもらおうとするメディア側の努力が足りない」とした上で、「メディアは有用だからこそ批判される」と話した。

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