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太NHKカイロ支局長が中東取材を語る ボーン・上田賞受賞者講演会 ニュースパーク

 新聞博物館(ニュースパーク、横浜市)で4月6日、2012年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞したNHKの太勇次郎カイロ支局長による講演会が開かれた。9.11米同時多発テロからアラブの春に至る中東激動10年間の取材記に、113人が聞き入った。

 太氏は東京外語大のインド・パーキスターン語学科(当時)出身。神奈川県で高校の英語教師だった太氏は1989年、日本語教員にならないかとのパキスタン政府からの誘いを受け、公務員として2年間、軍将校の教官を務めた。帰国してNHKに入局。2001年、米で同時多発テロが発生した時、パキスタンでの経験を買われてイスラム勢力の動向を追うことになった。

 アフガニスタンは米ソの代理戦争の場だった。冷戦後、世界は忘れ去っていたが、その間、弾圧から逃れるためにイスラム勢力が集まり続けた。「米が育てた志の高いイスラム戦士が集合し、アルカイダが誕生した。9.11の責任の一端は、アフガニスタンから目を離していたメディアにもある」と話す。

 アラブの春では、全く先が読めなかった。「ジャーナリストとしては忸怩(じくじ)たる思いだ。次に何が起こるのか予想できず、追いかけることで精いっぱいだった」という。パキスタン軍に明らかに偽物と分かる映像を見せられ、宣伝に利用されそうになったことも。「戦争にプロパガンダはつきものだ。何を伝えればいいのか、何が真実なのか常に問われていた」と振り返る。

 アルジェリア人質事件にも触れた。冷戦後のアフガニスタンのように、マリにも聖地ができつつあるという。「手遅れにならないよう、世界がマリに目を向けなければならない。無関心という空間を世界の中に作ってはいけない。チュニジア人とエジプト人というアラブの春を経験した人々が、なぜまた事件を起こしたのか考える必要がある」と話した。「視聴者が声を上げれば、もっと手厚い国際報道ができる。継続的な取材でテロを防ぐこともできるかもしれない」と支援を呼び掛けた。

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