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東北再生、地元紙が討議 企画展の開催記念しシンポ ニュースパーク

 新聞博物館(ニュースパーク、横浜市)で5月18日、企画展「再生への道 地元紙が伝える東日本大震災」(岩手日報社、河北新報社、福島民報社、福島民友新聞社特別協力)の開催記念シンポジウム「東北再生に向けた新聞の役割」が開かれた。4社の編集局次長、報道部長らが登壇し、震災直後に新聞が果たした役割、3年目を迎えても山積する課題について討議した。120人が熱心に耳を傾けた。早大政治経済学術院の瀬川至朗教授がコーディネーターを務めた。

 岩手の菅原智広報道部長は、困難から逃げない▽前を向く被災者にエールを▽犠牲者の追悼▽支援への感謝―の4点を紙面作りに反映してきたと説明した。特に犠牲者の追悼については力を入れ、岩手県内の約6千人のうち、半数以上の3252人を紙面で紹介した。犠牲者の人となりを紙面で残したいという思いで、避難している遺族には北海道から沖縄まで記者が訪ねて回った。「今は記憶の風化との戦いだ。被災地に直接出向かないまでも、今日の話を家族や知人に伝えてほしい」と会場に呼び掛けた。

 河北は、事実を正確に伝えることと、復興の課題を読者と共に考えることを2本柱に、企画を展開している。これまで居住地の高台移転や、地域医療を担う人材の育成などについて提言してきた。震災3年目を迎える今年は、もう一度防災や減災を考えようというキャンペーンを始めた。風化が言われて久しいが、今野俊宏報道部長は「あの時、全国の人が津波の映像や避難所の様子に涙し、自分にも何かできないか、こんな生活を続けていいのか考えたと思う。その気持ちを忘れていいのか」と訴えた。

 「『どう伝えたのか』と、よく聞かれる。しかし、震災はまだ終わっていない」と強い口調で話したのは、福島民報の早川正也編集局次長兼社会部長。知るべき人に知るべき情報を運ぶ▽多様な視点や論点を提供する▽後世のために歴史を記録する―の3点に加え、県民のために被災地目線で報じることを心掛けていると説明した。除染が進まないことで県民の不安は解消されず、対立と分断を招いている。風評や差別への反論、県外への積極的な情報発信など取り組むべき課題は山積しているが、「地元紙として震災を一生背負い、記録、報道していく」と述べた。

 同じ放射線に関するニュースでも、プラスに感じる人もいれば、マイナスに捉える人もいる。安全だと言っても、そうでないと言っても、苦情が寄せられる状況だ。見出しは数字で取るしかない。「詳細な数値を報じているので、地元には現況を伝えられていると思う。全国の人たち、特に風評の元になる関東の人々にどう伝えるかが課題だ」と福島民友の小野広司報道部長。3年目を迎えた今、「何らかの決断をしていこうという被災者の背中を押すメッセージを伝えたい」と話した。

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