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「目的外利用の防止、技術では困難」 情報通信総研・小向太郎研究員、共通番号制度を解説 マス倫研究会

 マスコミ倫理懇談会全国協議会の第11期第9回「メディアと法」研究会が5月28日、新聞協会会議室で開かれ、情報通信総合研究所の小向太郎主席研究員が「社会保障・税番号制度でなにが変わる」と題し講演した。国民一人一人に番号を割り振り、社会保障や税に関する情報を管理する共通番号制度関連法が24日に成立したことを受け、制度の構想や懸念される問題などについて解説した。

 小向氏は制度設計に当たり、政府のワーキンググループで委員を務めた。制度は2016年1月から運用が始まる。「消えた年金記録」が問題となり、導入に向け検討が始まったが、反発も根強い。

 住基ネットの違憲性が争われた08年の最高裁判決では、扱う情報の秘匿性が高くなく、利用目的が正当で、目的外利用が禁じられているなどの理由で合憲とされた。小向氏は「判決を踏まえて制度を作ったが、判決の要件を満たすのは難しい」と話す。

 個人、企業、行政で番号を利用できるようにするためには、カードに表示しなければならない。その上で目的外の利用や流通を完全に防ぐのは、技術的には不可能であり、法的に制限する他ないという。

 また制度には、国家による管理の集中や、企業などが個人情報を追跡して突き合わせることで、情報が拡散してしまうなどの懸念がある。集中を防ぐため、行政機関は別々に番号を管理し、情報連携基盤システムで符号を通じ情報をやりとりする。また、拡散を抑制するため、民間で番号を他の情報と関連付けて収集するのを禁じた。行政や企業を監督する第三者機関も設立される。

 それでも課題は残る。企業は社員の番号を他のデータとは独立して管理しなければならないが、どこまで徹底されるかは不透明だ。小向氏は 「認識不足から法令違反が常態化する可能性がある」と危惧する。その上で、第三者機関を形骸化させず、個人情報保護制度全体の見直しにつなげていく必要性を訴えた。

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