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先は見えず、課題は複雑に 福島でマス倫研究会開催 苦悩する地元メディア

 マスコミ倫理懇談会全国協議会の第11期第10回「メディアと法」研究会が6月6、7の両日、福島市のコラッセふくしまなどで開かれた。新聞、通信、放送、出版などから25社35人が参加した。初日は「福島で報道する難しさ」をテーマに、地元メディア4社の報告を踏まえ討論した。東日本大震災から3年目を迎え、先が見通せない状況が続く中、避難者と受け入れ側住民との摩擦など課題は複雑化している。討論会では地元メディアの苦悩が浮き彫りとなった。

 福島民報の鈴木久取締役論説委員長は、メディアは県民の分断や対立を防ぐために何ができるかを考え、両者間のあつれきを解消していかなければならないと述べた。福島に対する風評や差別への反論も心掛けているとした。

 福島民友の菅野篤編集局次長は、復興への「羅針盤」が依然示されていないことが、被災者の不安につながっていると述べた。移り変わる被災者の心情や、表出しない多くの声をどう拾い、意見を集約するかが難しいと指摘した。

 福島テレビの鈴木延弘報道部長は、メディアとして被災者に都合の悪い情報も報道するとした上で、地元テレビ局として、何らかの安心材料を提供できないかと悩む日々が続いている、と打ち明けた。

 一部で「パチンコ三昧」などと被災者を非難する声がある。福島中央テレビの松川修三報道部長は、それは「事実」かもしれないが、背景まで考えれば「真実」なのかと疑問を呈した。また、福島第一原発事故の長期化は県内外で意識のズレを拡大させており、県内には慎重に、県外には福島の現状を積極的に、情報を発信していく必要があると指摘した。

 会場からは、「被災者の中には農作物を生産しなくても多額の賠償金が支払われ、生産意欲や生きる意欲すら失われるような状況がある。そうなっているのはなぜか、メディアは伝えていかねばならない」などの意見が出された。

 司会はTBSテレビの神田和則コンプライアンス室担当局次長が務めた。討論に先立ち、川内村の遠藤雄幸村長と新ふくしま農業協同組合の斎藤隆常務理事が講演した。

 2日目は、福島県内各地を訪問した。相馬市の立谷秀清市長と南相馬市の阿部貞康復興企画部部長から、復興状況を聞いた。また、警戒区域が再編された浪江町中心部や、津波被災地の請戸地区を視察。未配達の新聞が店内に積まれたままとなっている浪江新聞販売センターを訪ねたほか、地震で倒壊した家屋、津波で流された自動車や船などが横たわる沿岸部を歩いた。

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