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ヘイトスピーチは法規制すべきか ジャーナリスト・安田浩一氏 「議論深めることが必要」 マス倫懇月例会

 東京地区マスコミ倫理懇談会の例会が6月26日、新聞協会会議室で開かれ、ジャーナリストの安田浩一氏が「『ネットと愛国』の取材を通して―在特会とネットファシズム、そして差別について」と題し講演した。排外的主張で注目を集める「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の実態や、ヘイトスピーチへの法的規制といった問題をめぐり議論した。

 東京・新大久保などで在日韓国・朝鮮人の排斥などを訴えるデモが頻発している。参加者らが繰り返すヘイトスピーチは社会問題化している。週刊誌などの記者として、長く外国人労働者の問題を取材してきた安田氏は昨年、書籍「ネットと愛国 在特会の『闇』を追いかけて」を出版し、排外主義を叫ぶ人々の内実に迫った。

 デモはメディアの注目を集める以前から行われていた。メディアが放置したことで、主張が増長したのではないかと安田氏は指摘する。

 「在日は税金を納めなくてもよい」「メディアは在日に支配されている」といった荒唐無稽な根拠に基づき主張を唱える会員らは、「自分たちが差別されていると思い込んでいる」(安田氏)。特に反メディア感情は強く、「メディアは問題を報じない」「真実はネットの中にある」と考えているという。

 取材した会員の中には、貧困問題への関心を契機に在特会の活動にのめり込んでいった若者や、イラン人の母を持ち、日本人としてのアイデンティティーを持てなかった青年らがいた。彼らが在特会の活動を「社会とのつながり」「既成権力への反抗」と見なし、少額の寄付を寄せる。在特会は、その積み重ねで活動を続けている草の根組織だ。

 新大久保では今年2月ごろから、排外的主張に反対する勢力も目立つようになり、6月には両者の衝突で逮捕者が出た。双方、「出ていけ」などの罵声をぶつけ合う。安田氏は、国籍などの属性を攻撃するヘイトスピーチは、公平性を破壊する行為だとした上で、「どの国にも良い人も悪い人もいるという当たり前の認識に立つ以外、レイシズム(人種差別主義)には立ち向かえない」と締めくくった。

 参加者からは、ヘイトスピーチの法的規制について、どう考えるか質問があった。安田氏は、「ジャーナリストとして表現規制には反対だったが、正直なところ、どう考えるべきか分からない」とした上で、「日本には言論弾圧の歴史がある。議論を深めることが必要だ」と答えた。

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