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福島菊次郎展が連日盛況 67年のキャリアを凝縮 ニュースパーク

 新聞博物館(ニュースパーク、横浜市)で8月24日から開かれている企画展「92歳の報道写真家 福島菊次郎展」(共同通信社共催)に、夏休みを利用した家族連れや福島氏のファンなど、連日多くの観客が訪れている。ヒロシマからフクシマまで、日本の戦後史に残る数々の事件・事故に迫った現役最高齢と言われる報道写真家の全てが凝縮されている。

 企画展は、共同の藤原聡編集委員が福島氏を取材したことがきっかけとなり、開催が決まった。同氏が自作した貴重な写真パネルを多くの人に見てもらおうと共同が発案した。

 福島氏のキャリアは67年、総撮影枚数25万枚以上という。今回はその中から、写真パネル約80点を展示した。1960年に日本写真批評家協会賞特別賞を受賞した「ピカドン ある原爆被災者の記録」をはじめ、三里塚闘争、学生闘争、公害問題など日本の戦後史に残る大事件を個人で写し続けてきた。現在も報道写真家として活動しており、90歳で東日本大震災直後の被災地を取材している。

 代表作「ピカドン」は、52年から10年間、広島県の被爆者一家を追いかけた記録だ。被ばく症状に苦しむ父親、極限の貧困で家族がばらばらになる様子を、父親の死まで赤裸々に写している。博物館を訪れ作品を見た横浜市の夏井梨里香さん(小6)は「息ができなかった。教科書に原爆について載っているが、情報が全然足りないと思う。もっと多くの人に見てほしい」と話した。同市の会社員塚田淑恵さん(60)は「ああした貧困は原爆の被災者だけでなく、空襲で働き手を失った多くの家族に起こった出来事だろう。大変な時代だったと思う」と涙ぐんだ。同市の公務員小高宏司さん(39)は「被害者の人数や破壊された街の風景は知っていたが、10年という長い期間1人を追いかけた写真を見て、ようやく事の重大さが分かった」と話した。

 10年間追い続けた成田空港の建設をめぐる三里塚闘争は、事件・事故の報道で福島氏が一番力を入れたという。東大安田講堂攻防戦、あさま山荘事件では、被写体との距離の近さが際立つ。ほぼ標準レンズしか使っていないというから驚きだ。

 瀬戸内海の離島を写した作品では、島の人々の暮らしや子供たちの様子を優しい視点で捉えている。福島氏自身が82年から6年間、瀬戸内の離島で自給自足の暮らしをしたときの写真も紹介し、同氏の人柄にも迫った。

 企画展は10月20日まで開催する。問い合わせは同館(電話045・661・2040)まで。

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