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「目的の正当性、考慮すべきだ」 甲南大大学院・園田寿教授 不正アクセスと取材で講演 マス倫研究会

 マスコミ倫理懇談会全国協議会の第12期1回「メディアと法」研究会が9月12日、新聞協会会議室で開かれ、甲南大法科大学院の園田寿教授がネットワーク犯罪と取材活動をテーマに講演した。パソコン遠隔操作事件を取材していた朝日と共同の記者が不正アクセス禁止法違反容疑で書類送検され起訴猶予となった件を含め、ネットワーク上における情報の不正入手は手段の違法性のみが問われる傾向にあると指摘。「目的の正当性なども考慮すべきだ」との考えを示した。

 園田氏は、情報の価値は受け取る人間や時間などによって異なることから、一般的に刑法の保護対象とするのは難しく、行為自体を罰することで間接的に保護していると説明した。

 不正アクセス禁止法は、アクセスが制御されたネットワークへの侵入行為自体を禁じている。一方、必要に応じて制御を強めることを努力義務として管理者に求めている。このことから、「しっかり制御されたネットワークでなければ、保護すべき法的利益とは認められない」という。

 記者がアクセスしたメールサーバーは、パスワードが容易に類推できた。ただ、そのことから管理者の承諾があったとまではいえず、「不正アクセス罪の構成要件に当たる」という。しかし、サーバーが一般のメール送信に用いられていないことは明らかでプライバシーの侵害はなく、パスワードも簡単だった。その上で、真犯人を捜し出すための取材という目的の正当性と、アクセス制御への信頼性を守るという法益を比較考量すれば、「正当化できる余地はあった」と話す。さらに事件をめぐる議論について、「サーバーは保護されるべきものだったのかとの観点が抜けている」と指摘した。

 参加者からは、同様の事態に直面した場合の注意点について質問があった。園田氏は、取材するならば、目的の正当性を説明できるのかを社として議論しておかなければならないと指摘した。

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