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協会賞記者が思い語る ニュースパークで講演会

 新聞博物館(ニュースパーク、横浜市)で10月19日、2013年度新聞協会賞受賞記者講演会が開かれた。普段聞くことができない取材の経緯や苦労話、あふれる記者の思いに90人が聴き入った。

 朝日の「『手抜き除染』一連のスクープ」は、記者4人が130時間にわたり除染現場に張り込み、記者自身の目で実態を確認したことが読者の大きな反響を呼んだ。鮫島浩東京本社報道局特別報道部次長は、「原発事故をめぐり、報道機関は行政との癒着や事実の隠蔽(いんぺい)を疑われている。しかし、実際は取材が甘くて事実に迫り切れていないだけだ。相手を追い掛ける取材だけでなく、埋もれている事実を掘り起こす取材が必要だ」と話した。

 共同の田村崇仁運動部記者は、「柔道女子代表の暴力・パワーハラスメント問題のスクープ」について、「日常の取材がスクープのきっかけになった」と振り返った。スポーツと指導をテーマにした企画を報道各社が報じ、選手も自らの体験を語り出すなどスクープは各方面に大きく波及した。20年五輪の東京開催が決まった今こそ、負の連鎖を断ち切るときだと訴えた。

 「根室海峡はカッコ付きの国境だ。交易も漁業協定の締結もできず、裏で密漁が横行する」と話すのは、北方領土の歴史をたどった北海道の本田良一報道センター編集委員。北方領土問題の実情は、道内にもかかわらず札幌でも理解されにくいという。「どういう形であれ、返還され経済交流が生まれるのであれば、生活の懸かっている根室の住民は反対しない。反対するのは全島一括返還に向け手弁当で頑張っている全国各地の人々だ」と複雑な事情を説明した上で、「いろいろな思いを踏まえて、解決に向けて一緒に考えていきたい」と話した。

 沖縄県・尖閣諸島と島根県・竹島の問題を抱える琉球と山陰中央の合同企画「環(めぐ)りの海」について、琉球の新垣和也政治部副部長待遇は「地方紙が地元の問題を報道するとき、地元や国策を動かす中央は意識しても、他の地方に訴える努力は足りていただろうかと考えた」と語った。山陰中央の森田一平報道部担当部長は、タイトルに込めた思いについて「島に焦点を当てると、領有権の話になってしまう。海に光を当て、島を中心に『環(わ)』を描き、周りにいる人たちは何を考えているのか、どういう生活をしているのか書きたかった」と話した。

 深海生物ダイオウイカの撮影に成功したNHKの河野英治報道局映像センター映像取材部専任カメラマンは、10年以上にわたる取材について、漁船での取材や狭い潜水艦での10時間の潜行、イカが現れないことのプレッシャーなど、肉体的にも精神的にも厳しいものだったと振り返った。「研究者や地元の漁師、ホエールウオッチングのガイドなど、さまざまな人の協力を得て実現した。チームワークの勝利だ」と話した。

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