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児童ポルノ改正案に疑問 大屋雄裕名大大学院教授 マス倫懇月例会 

漫画を対象「筋が違う」

 東京地区マスコミ倫理懇談会の10月例会が24日、新聞協会会議室で開かれ、大屋雄裕名大大学院教授が児童ポルノ禁止法改正案について講演した。改正案について、「児童の権利保護という立法趣旨を考えると、権利を侵された児童がいない漫画などを対象にするのは筋が違う」と疑問を呈した。

 改正案は5月に高市早苗衆院議員ら自民、公明、維新の3党の国会議員6人が提出し、現在は衆院法務委員会で審議されている。

 写真やデジタル画像などの児童ポルノを自己の性的好奇心を満たす目的で所持した場合、改正案では1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科される。警察は立件に当たり、所持目的を立証する必要があるが、大屋氏は「ポルノは普通、性的な目的のために持つものと思われている。結局は被疑者側が立証しなければならなくなる」と危惧した。

 EUでは、「現実もしくは疑似の性的行為を行う児童に見える人物の視覚的表現」を禁じている。大屋氏は「実在する児童についての極めて写実的な描写を対象としているようだ」と話す。スウェーデンの日本研究者が持っていた漫画が児童ポルノに当たるかが争われた裁判で、同国最高裁は昨年、無罪と判断した。オランダでも今年、同様の判決が下っている。

 現実には人権侵害が起きない漫画などが法案の対象とされる中、大屋氏は児童の性行為を連想させる行動を撮ったDVDを例に、「表現は限定的であっても、こちらの方が児童の人権を侵害している」と指摘した。また、児童ポルノのような漫画が街中で目に入ってしまう問題点も挙げ、「屋外広告規制や店内での区分けを徹底すべきだ」と語った。

 参加者からは、所持に刑事罰を科すことの問題点について質問があった。大屋氏は「所持目的を客観的に証明するのは不可能だ。警察が別件逮捕などで悪用する可能性はないとはいえない」と答えた。

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