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メディア判例を解説 東大大学院・宍戸常寿教授 報道上の注意点指摘 マス倫懇研究会

 第12期8回マスコミ倫理懇談会「メディアと法」研究会は3月18日、新聞協会会議室で開かれた。東大大学院の宍戸常寿法学政治研究科教授が、2013年1月から同4月までに出されたメディア・報道関連の判例18本を解説した。

 宍戸氏は小川敏夫元法相と新潮社の訴訟の判決(1月21日、東京地裁)を「週刊誌の記事本文と切り離して新聞広告だけに名誉毀損(きそん)を認めた珍しい判例」として紹介した。小川氏と元妻の約20年前のトラブルを報じている記事について、本文、見出し、リードを一体のものとして読めば、小川氏の社会的評価を低下させないと認めた。一方で週刊誌の新聞広告に掲載された見出しについて、小川氏が問題行動を起こしたという印象を見る人に与えると判断した。宍戸氏は、「インターネットにニュースが掲載されることで、見出しだけ読まれる機会は増えている。これまで以上に見出しの付け方に注意する必要があるのではないか」と指摘した。

 警視庁からインターネット上に流出した公安情報をまとめて出版した第三書館(東京都新宿区)に対し、実名などを載せられたイスラム教徒16人が出版差し止めなどを求めた訴訟の判決(3月21日、東京高裁)について宍戸氏は、「ネット上で閲覧可能な情報だからといって、本人の同意を得ていなければプライバシー侵害に当たる恐れがあるという点を指摘した判例だ」と紹介。ただ、書籍の内容が信仰に着目して情報を収集していたという点で侵害の度合いが大きく、必ずしも一般化はできないと説明した。

 紛争報道の判例として紹介したのは、男性警察官と講談社の訴訟の判決(4月10日、松山地裁)。女性警察官が男性警察官を暴行で訴えた事件を報じたフライデーの記事について、見出しが断定的で、本文に女性の主張に基づくという記述がないため、暴行という事実が存在したという印象を読者に与え、男性の名誉を毀損すると認めた。宍戸氏は「一方が現職の警察官で取材に応じなかったという苦しい事情はあるが、メディアは双方の当事者を取材することが前提となっている」と指摘した。

 男性はフライデーの情報源となった女性に対しても損害賠償を請求したが認められなかった。この点については、合わせて紹介した京都新聞社と西陣織帯の製造販売会社などとの訴訟の判決(4月19日、京都地裁)を例に、「取材源の責任については、取材源がどこまでメディアを利用しようとしているのかが考慮されているのではないか」と話した。この事件では、京都新聞の取材に対して、同社の製品を自らが開発したと虚偽の情報を伝えた取材源も責任を問われた。 

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