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守秘義務範囲の明確化など課題 中央大・椎橋隆幸教授 裁判員制度5年で講演 マス倫懇研究会

 第12期第9回マスコミ倫理懇談会「メディアと法」研究会は4月22日、新聞協会会議室で開かれ、中央大大学院の椎橋隆幸教授が、施行5年を迎える裁判員制度の現状と課題について講演した。守秘義務範囲の明確化や公判前整理手続き期間の短縮、死刑求刑事件の裁判員の負担軽減が課題になっていると説明した。

 裁判員選任手続きへの出席率は約8割と高い。椎橋氏は「制度が国民の理解を得ていることの表れではないか」と話した。ただし、出席率は少しずつ低下しており、辞退率も上昇しているという。

 公判審理は、おおむね連日開廷による集中審理が実現されているが、長期化の傾向にある。特に公判前整理手続きに大きく時間がかかっており、2009年は平均2.8か月だったが、11年は同6.4か月だった。年々増加しているのは評議時間も同じだ。しかし、「時間について6割近い経験者が適切だったと述べている。むしろ時間が短かったという人も少なくない。人の自由や生命を奪うこともある判断は、慎重にしたいということの表れだろう」と話した。

 素人の常識が最も反映されるのではないかと言われた量刑判断について、椎橋氏は「裁判官の量刑に比べ重い方にも軽い方にも大きく幅が広がっている」と指摘した。殺人未遂や傷害致死、強姦致傷などは厳罰化しているが、強盗致傷や現住建造物等放火などは執行猶予判決の割合が高いという。一審の死刑判決が二審で覆ることもあるが、「死刑か無期かという判断はやはり特別だという裁判所の考え方があるのだろう」と話した。

 守秘義務については「自由に評議するために必要とされるが、範囲が明確でない。何を話してよいかが分からないため、悩んだ裁判員が心身の不調をきたすこともある」と指摘し、範囲を分かりやすくすることで裁判員の負担を軽減すべきだと話した。

 このほか、法務省の裁判員制度に関する検討会が昨年6月にまとめた報告書では、審理が長期間におよぶ事案を裁判員裁判の対象から外せるようにすることや、選任手続きで被害者らのプライバシーを保護することなどが課題として挙げられている。

 参加者からは「制度設計の段階で、事件報道は裁判員に影響を与えると指摘されたが、裁判員制度導入で事件報道は変わったか」との質問があった。椎橋氏は「報道は変わっていないと思う。ただ、日本は客観的な報道が基本だ。いろいろな新聞社や放送局があるので、バランスの取れた情報が国民に伝わっているのではないか」と答えた。

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