1. 日本新聞協会トップページ
  2. すべてのヘッドライン
  3. 新聞協会ニュース
  4. 震災3年 復興へ課題問う 福島でマス倫研究会 地元4社、現状を報告

震災3年 復興へ課題問う 福島でマス倫研究会 地元4社、現状を報告

 マスコミ倫理懇談会全国協議会の第12期第10回「メディアと法」研究会が5月22、23の両日、福島市のコラッセふくしまなどで開かれ、新聞・通信・放送・出版などから29社38人が参加した。初日は「東日本大震災から3年―福島の現状とメディアの役割」をテーマに、地元4社の報告を踏まえ討論した。今なお約13万人が避難生活を続ける中、住民間の摩擦や家族の離散、震災関連死の増加などさまざまな問題が残されている。地元各社は、報じる上での課題や具体的な取り組みなどを紹介した。

 福島県では、震災と東京電力福島第一原発事故による避難生活で心身の健康を崩して亡くなった人が、直接死を上回っている。福島民報は2012年11月から連載企画「原発事故関連死」を展開し、避難生活の過酷さ、死と原発事故との因果関係を立証することの難しさ、自然災害を想定した災害弔慰金制度の問題点などを指摘してきた。早川正也編集局次長は「関連死は人災だ。報道を通じ、止めるためにどうすべきかを世に問い、国や県を動かしていかなければならないとの思いで取り組んでいる」と強調した。

 福島民友の小野広司編集局次長は、3年目が復興に向けた大きな転換期になると期待していたが、避難者が過酷な生活を余儀なくされる状況は変わらなかったと述べた。昨年9月に始めた連載「『復興』の影」は、原発事故避難者と津波被災者とのあつれきなど、これまで地元紙として避難者の心情に配慮し触れなかった問題も取り上げるようにしたという。「何が復興の妨げになっているのか洗い出し、国や県だけでなく、避難者や受け入れ先の住民、県民に問いたい」と話した。

 福島テレビの鈴木延弘報道局報道部長は、今年1月にFNN(フジニュースネットワーク)が発足させた原発問題専門取材団について説明した。ネットワーク全局がそれぞれ代表メンバーを決め、1週間交代で福島に入り、福島テレビと協力して原発問題を取材する。廃炉まで40年ともいわれる中、息の長い報道を続けていくための取り組みだという。

 福島中央テレビの佐藤崇取締役報道制作局長は、社員の間で震災発生時の記憶が少しずつ薄れてきていると指摘した。そのため昨秋、各部署から当時の状況などを記した原稿を募り、社内用の記録集を作った。「あの日の記憶を原点に、今後の報道の『句読点』にしていきたい」と語った。

 司会はTBSテレビの神田和則コンプライアンス室長が務めた。討論に先立ち、日本原子力発電の北村俊郎元理事社長室長と福島県漁業協同組合連合会の野﨑哲代表理事会長が講演した。

 2日目は、県内各地を訪問し、いわき市の清水敏男市長と復興状況などについて意見交換したほか、同市にある大熊町いわき出張所で仮設住宅自治会長らから避難生活について話を聞いた。このほか、津波被害の痕跡が残る富岡駅周辺を視察したほか、大熊町の中間貯蔵施設候補地を車中から見学した。

ページの先頭へ