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「批判的態度で検証を」 阪大・中村征樹准教授 STAP問題で講演 マス倫月例会

 東京地区マスコミ倫理懇談会の例会が5月27日、新聞協会会議室で開かれ、科学技術社会論・科学技術史を専門とする阪大の中村征樹全学教育推進機構准教授が「STAP論文不正疑惑問題はなぜ起きたのか―研究不正行為と科学倫理」と題して講演した。中村氏は、科学の商業化、産業化で、科学者・研究機関側が成果をより分かりやすく、大きく伝えようとしている傾向を指摘し、「何人かの科学者に確認すれば、報道発表の間違いは分かったのではないか」と述べ、批判的な態度で検証することの重要性を訴えた。

 理化学研究所の調査委員会はSTAP論文について、捏造(ねつぞう)や改ざんという研究不正があったと判断した。中村氏は「小保方晴子研究ユニットリーダーの問題を指摘するのは容易だが、重要なのは捏造、改ざんにとどまらない不適切な行為が周囲で同時に起きていたことだ」と指摘する。ずさんなデータ管理や不適切な論文著者記載、不十分な教育、研究資金を出した営利企業に好意的な結果を出す問題などについても対策を講じるべきだと話した。国際的に見ても、研究不正には至らない不適切な行為が若手研究者に限らず多く発生しているという。

 中村氏は、「小保方氏対理研という報じ方で、なぜ研究不正が行われたのか、なぜ不適切な行為が多く発生しているのかが明らかになるのか。メディアにはアジェンダ設定を大切にしてほしい」と話した。また、研究の成果は確立されたものではなく、不確実で常に更新される可能性があるという視点で報道することが大切だと指摘した。

 研究内容ではなく、小保方氏個人に焦点を当てた報道が多く見られたことについては、「一般的にハードルが高いと思われがちな科学について、さまざまな切り口から報道することで関心が高まる可能性もある」として、悪いことではないとの考えを示した。

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