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「法改正で報道規制の恐れ」 個人情報保護法で岡村久道弁護士が講演 マス倫研究会

メディアに議論促す

 第12期第11回「メディアと法」研究会が6月3日、新聞協会会議室で開かれ、政府の「パーソナルデータに関する検討会」で議論されている個人情報保護法の改正について、岡村久道弁護士が講演した。表現の自由は従来、プライバシー保護との調整で考えられていたが、今回はビッグデータ活用との関係で問題になっていると指摘。他の法令やプライバシー関連判例への影響を考慮せずに、何を個人情報とし、どう利用を制限するかが議論されており、「報道が規制される恐れがある。メディアは自身の問題としてきちんと議論すべきだ」と強調した。

 岡村氏は、個人情報保護やパーソナルデータの関連法制と表現の自由は緊張関係にあると説明した。一方を強化すれば、もう一方は萎縮する。そのため、個人情報保護法制を議論するなら、表現の自由も議論する必要がある。しかし、検討会はビッグデータの活用だけを念頭に置いており、検討テーマから表現の自由が欠落していると指摘した。

 個人情報保護法は50条で、報道機関による報道目的の利用について適用を除外している。一方、その特例法である共通番号(マイナンバー)法では、適用除外の対象とされていない。岡村氏は「汚職や生活保護不正受給などの取材をすれば、マイナンバーを取り扱うことになる。しかし、報道機関は特定個人情報の収集、保管、提供を禁じられている。提供を求めるのも違法だ。なぜメディアは意見を表明しなかったのか」と指摘した。また、個人情報保護法は、報道機関に主務大臣を置いていないが、共通番号制度では情報の取り扱いを監督する第三者機関「特定個人情報保護委員会」が置かれている。法改正で個人情報保護の枠組みが変わった場合にどうなるのか、検討会は議論していない。この点についても、メディアとして態度を明らかにする必要があると話した。

 今回の法改正は、産業界によるビッグデータの活用という観点で議論が進んでいるため、技術的に個人を識別できるかどうかが、個人情報の判断基準になっているという。岡村氏は「個人が識別できるかどうかという概念は、情報公開法などにも関わる問題だ。しかし、検討会では個人情報保護法しか議論しておらず、他の法令への影響が考慮されていない」と指摘する。これまで最高裁は、当該個人情報が個人を識別できるのかという点で、表現の自由とプライバシー保護の調整を図ってきたが、「個人情報保護法とプライバシー権に関する解釈にできる限りの統一が図られないと、これまでメディアと最高裁が積み重ねてきた理論が崩れる恐れがある」と話した。

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