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デジタル時代の役割を討議 トリノで世界新聞大会

 世界新聞・ニュース発行者協会(WAN―IFRA)主催の第66回世界新聞大会、第21回世界編集者フォーラム、第24回世界広告フォーラムが6月8日から4日間、イタリア北部トリノで開かれ、96か国・地域からメディア幹部ら千人が出席した。「新しい声、新しい現実、新しいエネルギー」をテーマに、デジタル技術やビッグデータの活用を通じた新サービスの開発、デジタル時代の報道の役割などについて議論した。

 8日の理事会・会員総会では、職務を理由に拘束されているジャーナリストの即時解放を求めるなど5本の決議を採択した。今年の「自由のための金ペン賞」を受賞したエチオピアのエスキンダー・ネガ記者も、政府を批判した記事がテロ予防法に違反するとして2011年に逮捕され、懲役18年の有罪判決を受けて服役中だ。このほか、8月の米・アフリカ首脳会議で報道の自由を議題にするようオバマ米大統領やアフリカ諸国の首脳に要請する決議や、ベネズエラのマドゥロ大統領にメディアへの暴力を即時停止するよう求める決議などを採択した。また、トーマス・ブルンネゴード会長が15年以降も続投することが、4月の執行委員会で承認されたと報告があった。

 9日の開会式典では、ネガ記者に金ペン賞が授与された。収監中のネガ記者に代わり、自身もエチオピア政府に拘束されていたスウェーデン人記者マーティン・シビー氏がトロフィーを受け取った。シビー氏は「ネガ氏にとって最も恐ろしいのは忘れ去られることだ。世界中の支援が彼の明日につながる」と述べた。

 「マルチプラットホーム、モバイル時代のビジネス転換」をテーマにした11日のセッションでは、デジタルサービスのモバイル対応について各国から報告があった。米デジタル・ファースト・メディアのジョン・パトンCEOは「既存メディアのデジタルサービスはユーザーの利便性を重視していなかった。モバイル対応に最優先で取り組まなければいけない」と問題を提起。続いて登壇した朝日の西村陽一取締役デジタル・国際担当は、東京電力福島第一原子力発電所事故で吉田昌郎所長の政府事故調査委員会への答弁を検証したデジタル特集「吉田調書」などを紹介した。西村氏は吉田調書の報道を事前にインターネットで告知したことについて、「読者開拓の実験だった」と説明。これらの特集は若年層との親和性が高いスマートフォンによる閲覧が大半を占めており、若者へのアプローチに効果的だと述べた。

 WAN―IFRAの年次報告書「ワールド・プレス・トレンド」によると、13年の世界の新聞発行部数は前年比2%増の5億3400万部となった。過去5年間では2%減少。全世界で紙の新聞読者は25億人、電子版は8億人だった。紙の新聞による収入は1630億ドル。電子版購読収入は60%拡大したが、総収入の93%は紙の新聞によってもたらされている状況を踏まえ、デジタル収益の拡大が急務だと指摘した。

 会場にはメディア企業やシステムメーカーの展示ブースが設けられ、共同が昨年に続き出展した。次回は来年6月1日から3日間、ワシントンで開かれる。

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