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西嶋勝彦弁護士、袴田事件と刑事司法で講演 マス倫月例会

「裁判所は冤罪の原因究明を」 

 東京地区マスコミ倫理懇談会の例会が6月25日、新聞協会会議室で開かれ、袴田事件の弁護団長を務める西嶋勝彦弁護士が「袴田事件を契機に日本の刑事司法は変わるか」と題して講演した。西嶋氏は、裁判所が警察による証拠捏造(ねつぞう)の疑いを認め、再審決定と同時に袴田巌さんを釈放したことを評価した。一方で、「裁判所は冤罪(えんざい)事件の原因を究明をする第三者組織を設置すべきだ。警察や検察は不十分だが冤罪を一部検証してきた。しかし、裁判所は一度もしていない」と指摘した。講演には袴田さんの姉・秀子さんも同席した。

 法務省の法制審議会特別部会で検討されている刑事司法改革について、西嶋氏は「不当な取り調べをさせないために、自白中心の訴訟を根本的に変えることが期待されていたはずだ。しかし、現在の議論の流れはそうなっていない」と説明した。袴田事件は、一審静岡地裁の判決で長時間の過酷な取り調べが問題とされた。西嶋氏は全事件、全過程可視化の必要性を強調し、「参考人聴取や任意取り調べも録音、録画すべきだ。人や事件によって差をつけず機械的に実施しなければ、取調官の裁量でいくらでも拒否できてしまう」と指摘した。また、取り調べへの弁護人の立ち会いも、当然導入されるべきだと主張した。

 証拠開示については、検察が証拠品リストを作って開示するという方向で議論されている。しかし、「内容が分かるリストでないと意味がない。また、少なくとも再審になった事件は全証拠を開示すべきだが、この点も全く議論されていない」と懸念を示した。

 参加者からは、事件をめぐる一連の報道をどう考えるかという質問が出された。西嶋氏は「再審が始まってから、当時の報道を集めた。九分九厘が彼を犯人扱いしており、捜査側の情報の垂れ流しだ。今は丁寧に報道しているが、時期がくれば検証したい」と答えた。

 秀子さんは最近の袴田さんの様子について語った。拘禁症は治っていないが、年相応の健康体だという。「なるべく早く退院させてゆっくりさせたい。これから再審は長くかかるが、無罪放免になることを願っている」と話した。

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