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取材活動の萎縮を懸念 マス倫公開シンポ 特定秘密保護法で意見交換

 マスコミ倫理懇談会全国協議会の第27回公開シンポジウム「特定秘密保護法と知る権利」が6月27日、東京・内幸町のプレスセンターホールで開かれ、市民やマスコミ関係者ら70人が参加した。今年12月までに施行される同法の問題点や、取材、報道に与える影響について意見交換した。

 朝日東京の豊秀一社会部次長兼地域報道部次長と毎日の伊藤正志論説委員、元防衛相の森本敏拓殖大特任教授、NPO法人情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長がパネリストとして登壇した。司会は川岸令和早大政治経済学術院教授が務めた。

 豊氏は同法の問題点として▽指定された秘密の内容が分からない▽秘密の範囲とされる「その他の重要な情報」が拡大解釈される恐れがある▽第三者機関の独立性が担保されていない▽取材先が萎縮し報道機関の取材活動が制限されかねない―ことを挙げた。紙面では「市民の暮らしへの影響を分かりやすく伝えるため、具体的なシミュレーションを過去の実例と共に伝えた」という。

 伊藤氏は「国家の安全保障上、一定期間秘密とすべき事柄があることは否定しない」と述べた。しかし、同法は立法の必要性や内容に疑問があるとして、社説では全面的に見直すべきだという姿勢で臨んだと説明した。異例の1面への社説掲載やワッペン「秘密保護法を問う」などで問題提起してきたと話した。

 「日本を取り巻く環境は戦後最も厳しい。国と国民の安全のためには、いずれ必要となる法体系だった」と話したのは森本氏。国際社会の中で宇宙関連分野やサイバー技術を発展させるためには、情報の活用と保全が欠かせないと指摘した。法の必要性や問題点について、情報保全の観点だけで議論されているが、活用についても議論するべきだと主張した。

 三木氏は情報公開制度を利用してきた経験を踏まえ、「同法は政府の判断が絶対視され、情報公開制度のように公開を求めて争うことができない」と指摘した。秘密指定する権限を持つ人の多さが問題となっている米国の例を紹介し、指定は必ずしも客観的に判断できるわけではなく、絶対に主観的な要素が入ると話した。また、公開するリスクを過剰に見積もる傾向を指摘。指定範囲を最小限にし、指定された秘密も一定期間で公開されるよう監視しなければならないと話した。

 参加者からは、同法の施行で報道機関が萎縮する恐れはないかとの質問があった。豊氏は「記者は萎縮せずに書かねばならない。もし同法違反で逮捕される記者が出れば、社の枠を越えて共闘する」と答えた。伊藤氏は「何らかの形で特定秘密を知り、報道するかどうか考える局面がいずれ来るだろう。その情報に価値があれば報道する。萎縮してはならない」と強調した。

 三木氏は「情報漏えいは外部に対してだけではない。内部でも、その情報にアクセスする権限のない人に話せば漏えいになる」と指摘し、内部の制約が大きくなることも合わせて考える必要があると話した。一方、森本氏は「公務員が萎縮して取材に応じなくなることはない。メディアは少しオーバーリアクションではないか。この制度を自分にとって前向きに活用する方法を考えるべきだ」と反論した。

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