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個人情報保護法改正問題㊦ 第三者機関、権限どこまで

事実上報道の主務官庁にも

 政府のIT総合戦略本部が6月24日に決定した個人情報保護法改正に向けた大綱には、個人情報の取り扱いについて勧告や命令、立ち入り検査などの権限を持つ第三者機関の設置が盛り込まれた。しかし、その権限の及ぶ範囲は明確でなく、報道活動に影響する可能性がある。データジャーナリズムの展開なども見据えて法改正について考えることが、報道機関に求められる。

 大綱は、企業などによるパーソナルデータの第三者への提供を、本人同意なしで可能にする方針を示した。提供には個人を特定できないよう情報を加工することが求められ、その方法は民間団体が策定する自主規制ルールで定めるとした。ルールを認定し、データの取り扱いを監視する第三者機関の設置も明記した。

 大綱をまとめた同本部「パーソナルデータに関する検討会」委員の宍戸常寿東大大学院教授によると、自主規制ルールは現行法の枠内で規律を具体化するものと想定されている。報道目的での個人情報の取り扱いを規制の対象外としている現行法の50条や、適用除外分野の者に個人情報を提供する行為について主務大臣が権限を行使しないことを定めた35条は、自主規制ルールでも生かされるという。

 しかし、朝日の津山昭英ジャーナリスト学校顧問は、自主規制ルールであっても報道機関を適用除外とするよう求めるべきだと強調し、「法律に盛り込むのが難しいなら、改正案の付則に記すことを求める努力が、報道側には必要だ」と訴える。一方で、事業者らの理解を得るため、報道機関が「報道目的以外は利用しない」「プライバシーに配慮する」などと定めたガイドラインを作ることも必要だという。

 宍戸氏は「報道機関は、自由な情報流通の意義を強調し、必要以上に自主規制がなされないよう主張していくべきではないか」と述べた。

 大綱は第三者機関について、共通番号制度において個人番号の取り扱いを監督する第三者機関「特定個人情報保護委員会」を充てる考えを示した。

 現行法は個人情報を取り扱う事業者に助言・勧告・命令する権限を主務大臣に持たせている。新聞社は50条で適用を除外されている上に主務官庁がなく、自主的な取り組みに委ねられている。日経の田原和政社会部編集委員は、第三者機関が設置されることで、「50条の文言は生かされても、意味合いが大きく変わってくる」と説明する。例えば、「報道の用に供する目的」かどうかの判断が微妙なケースでは、第三者機関の権限が及ぶ可能性も考えられるという。

 宍戸氏によると、第三者機関の権限は全ての分野に及ぶことが想定されるという。そうなれば、個人情報保護法において、第三者機関が報道の事実上の主務官庁ということになる。宍戸氏は「顧客データやサイトの利用者情報などの取り扱いについて、影響が及ぶ可能性があることを考えておく必要がある」と述べた。

 各氏が口をそろえるのは、報道機関が今後、データジャーナリズムを展開していくとすれば、パーソナルデータを扱う当事者となるということだ。こうした観点や報道以外でのビッグデータの活用なども念頭に、報道機関は法改正がどのような影響を与えるかを考えていく必要がある。

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