1. 日本新聞協会トップページ
  2. すべてのヘッドライン
  3. 新聞協会ニュース
  4. 協会賞記者 報道の意義語る ニュースパークで受賞者講演会開く

協会賞記者 報道の意義語る ニュースパークで受賞者講演会開く

「問題を提示、社会で共有」

 新聞博物館(ニュースパーク、横浜市)で10月18日、2014年度新聞協会賞受賞記者講演会が開かれた。政治とカネ、認知症、新型出生前診断、東日本大震災、福島第一原発事故といった問題に切り込んだ記者らが、報道の意義や取材の苦労話を紹介。95人が聞き入った。

 朝日は、猪瀬直樹前東京都知事が都知事選前に医療法人「徳洲会」グループから5千万円を提供されていたことをスクープした。野村周東京本社社会部次長は「政治とカネ」の問題を報じる意義について、「国民が政治家を信用できなければ、間接民主主義は成り立たない」と指摘。「税金の使途問題を明らかにし、国民に知らせることが、社会から委ねられた記者の使命だ」と話した。

 「声を上げたくても上げられない人の話を掘り起こし、良い社会を目指していきたい」と話したのは、毎日東京の銭場裕司特別報道グループ記者。認知症の身元不明者に関する取材を進める中で、過剰な個人情報保護や行政の連携不足、県外の不明者情報を検索するシステムの不備といった課題を浮かび上がらせた。「認知症は誰もが当事者になりうる問題だ。センセーショナルに伝えるのではなく、読者と一緒に考えることを心掛けた」と述べた。

 「原発事故関連死」という言葉によって原発災害が多くの県民の命を奪っている不条理を報じた福島民報の芳見弘一編集局長は「粘り強いキャンペーンで問題を伝えたことが、政府の自殺対策の強化にもつながった」と強調。「東京五輪の際にここまで進んだと胸を張れるよう、他の地方紙とも連携して復興を進めていきたい」と決意を語った。

 信濃毎日は、新型出生前診断の臨床研究開始を機に、出産を支える社会の実現を訴えた。三村卓也報道部次長は「『産む、産まない』といったシビアな判断を女性に押し付けるのではなく、それを支え、どんな選択をしても受け入れられる社会になってほしい」と連載に込めた思いを話した。「同じ苦しみを持つ人に伝えてほしい」と、肉親にも話していない話を打ち明ける人もいたという。

 河北の長南康一編集局写真部主任は、400年前の慶長遣欧使節団を題材に、彼らの足跡を追った写真で東日本大震災の被災地を勇気づけた。企画の取材で訪れたメキシコでは、使節団に思いをはせるため高速道路ではなく、車で山道を通ったと紹介。「熱風で喉が焼ける思いがした上に、山賊に囲まれた」といったエピソードを披露した。

ページの先頭へ