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「国益毀損の批判、的外れ」 秦郁彦氏と宮台真司氏 慰安婦報道で講演 マス倫月例会

 東京地区マスコミ倫理懇談会の10月例会が8日と23日、新聞協会会議室で開かれ、「慰安婦報道」をテーマに現代史家の秦郁彦氏と社会学者の宮台真司首都大教授がそれぞれ講演した。宮台氏は、朝日の慰安婦報道が日本の国益を損なったなどと批判されるのは的外れであると指摘。「誤報かどうかは別として、吉田氏の証言を載せた朝日記事が慰安婦問題の引き金ではない」と述べた。

 宮台氏は、90年代に元慰安婦だったという女性が名乗り出たことを受け、吉見義明氏(歴史学)らが研究を始めたことが問題を大きくしたと説明。論点となっている「クマラスワミ報告」についても、吉田証言とそれに対する秦氏の異議が1か所ずつ掲載されているにすぎず、「吉田証言による影響はわずかだ」と指摘した。

 慰安所の存在の是非は論点ではないとも主張した。国際社会では「管理売春と自由意志こそが女性への暴力や性病のまん延を防ぐ」との理論が一般的であると紹介。その上で、問題の本質は業者による強制連行を放置したことや慰安婦本人の意思確認不足など、「軍の関与が不十分で管理が徹底されなかったことだ」と説明した。

 こうした点を踏まえ、朝日の第三者委員会に、慰安婦問題を歴史的に分析できる専門家や国際的な人権機関に関係する法律家などが含まれていないことを問題視した。

 秦氏は、問題の本質は「軍による強制連行の有無」だとした。「史料によると、軍の強制連行の事実はほぼなく、慰安婦は高収入で外出や廃業の自由もあった。つまり、慰安婦はいたが、従軍慰安婦はいなかった」と指摘。朝日や韓国メディアが女性の人権を問題にしている点について、「当時の娼婦は人権侵害だということになり、職業の自由を認めない不毛な議論だ」と述べた。

 韓国では米軍の性奴隷だったとする慰安婦らが政府に対し訴訟を起こしている。しかし、この件について韓国政府が公にしていないこともあり、日本のメディアは十分に取材できていないと指摘した。

 来年にかけ戦後70年を振り返る機会が増える。「メディアは社論などを展開するだけではなく、韓国の状況も含め、国民の判断材料となる情報を提供してほしい」と話した。

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