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文化報道の在り方を議論 産経起訴問題の言及も 日中韓セミナー

 第4回日中韓3か国報道人セミナーが10月28日から3日間、新聞協会、中華全国新聞工作者協会、韓国新聞放送編集人協会が主催で「日中韓の文化・芸術分野における報道の特徴について―友好協力を進める一方策としてのジャーナリストの協力」をテーマにソウルで開かれた。他国の文化を報道する際の在り方や課題などについて意見を交わした。産経の前ソウル支局長が在宅起訴されたことに関し、日本側と韓国側の議長から発言があった。次回は2016年、東京で開かれる。

 セミナーは隔年開催で、08年にソウル、10年に東京、12年に北京で開かれた。今回、日本からは国際委員会の宇治敏彦委員長(中日・相談役)を団長に11社12人が出席。開催国の韓国からは13社13人、中国から9社10人が参加した。

 29日のセミナーで、産経の加藤達也前ソウル支局長が先月在宅起訴されたことについて、日本側議長の宇治氏が、新聞大会で強く抗議し速やかに処分を撤回する特別決議を採択したことに言及。「韓国の新聞界でも、この問題に懸念を示す声があると聞いている。ジャーナリストの仲間として意を強くしている」と訴えた。これに対し、韓国の趙容來議長(国民日報・編集人)は「加藤氏が書いた記事は容認できないが、名誉毀損(きそん)で起訴されたのは遺憾だ、というのが韓国新聞界の多くの意見だ」と述べた。

 セミナーは、韓国新聞放送編集人協会の栄熙永会長(朝鮮日報・主筆)による「3か国で政治、外交において葛藤があるにせよ、お互いの文化を受け入れることを、政府が防ぐことはできない。東アジアの人々の豊かさのため、十分に悩んでみたい。異なる意見が出てもいい」とのあいさつで幕を開けた。

 続いて各国の議長があいさつ。宇治氏は「文化・芸術は国境を超える。共通の認識、価値観の拡大につながることを期待している」と述べた。基調報告は日本の天日隆彦氏(読売東京・論説委員)、韓国の金凡洙氏(韓国日報・国際部長)と劉尚哲氏(中央日報・中国専門記者)、中国の李春利氏(光明日報・文芸部副主任)が行った。

 天日氏は「文化・芸術は、各国民のアイデンティティーに関わる問題に発展しかねない。我々には、お互いの文化・芸術に敬意を払い、冷静かつ正確な報道を追求することが求められるのではないか」と語った。日本政府が15年度の世界文化遺産候補に挙げた産業革命遺産に、朝鮮人徴用工が強制労働させられた炭鉱が含まれ、韓国から批判が上がっていることや、中国政府が南京虐殺事件と慰安婦に関する資料を世界記憶遺産に登録申請し、日本政府が取り下げを求めたことなどに言及した。

 金氏は、朝日新聞が先月6日付朝刊3面に釜山国際映画祭を「日韓映画交流の実る釜山」という見出しで掲載したことを紹介。記事は「両国映画人の歩み寄りが目立った」などとしていた。金氏は「記事を総合面の主要記事として取り扱ったことを、高く評価したい。記者、編集幹部の強い決断があったのだろう。両国間の交流の必要性に着目し、その努力を引き立てる記事をもっと積極的に書く必要があるのではないか」と発言した。

 李氏は、中国政府が文芸作品に対する報道の批判機能を重視していると指摘。「中国の多くの放送番組は日本、韓国を手本にしている。簡単なまねだけでなく、地域に根ざしたオリジナル要素を絶えず増やしている。これもメディアの批評による結果だ」と語った。

 セミナーに先立ち、日本側参加者は28日、東亜日報を訪問した。

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