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日韓関係とメディアを議論 毎日元支局長が講演 マス倫月例会

 東京地区マスコミ倫理懇談会の11月度例会が21日、新聞協会会議室で開かれ、毎日新聞でソウル支局長などを歴任した大澤文護客員編集委員(千葉科学大教授)が日韓関係の現状とメディアの役割をテーマに講演した。大澤氏は、産経の前ソウル支局長が起訴された問題について、日韓関係だけでなく韓国社会の現状や、韓国メディアと政権の関係にも目を向ける必要があると指摘した。

 韓国では、2009年に新聞社の放送事業参入を認める改正メディア関連法が強行採決された。大澤氏は、放送局の政権批判に苦慮していた李明博(イ・ミョンバク)政権には、保守的な新聞社と放送局の経営統合を認めることで批判を抑制したいという思惑があったと背景を説明。権力闘争に利用されてきた韓国メディアの歴史について解説した。

 一方、4月に起きたセウォル号沈没事故で責任を問われている朴槿恵(パク・クネ)政権は、政府責任の最小化に注力していると分析。このため、政府の責任を追及する世論の矛先を、厳しい韓国批判で知られる産経新聞に向けたのではないかと指摘した。また、韓国メディアは事故の検証より政争を中心に報道していると報告。韓国内でも新聞記事が刑事処分の対象となるのは行き過ぎだとする意見もあるが、この問題に関する報道は少ないという。

 日韓両国は12年前半までは平穏な関係を構築してきた。大澤氏は、関係に亀裂が生じ始めたのは11年12月の日韓首脳会談だったと指摘する。韓国側が慰安婦問題に関して協議を要請したのに対し、日本政府は1965年の日韓基本条約で解決済みと回答。これ以降、李大統領の竹島上陸をはじめ、一気に関係が悪化したという。

 大澤氏は「日韓基本条約締結以降、両国間の問題は政治的に解決されたが、内包する課題に向き合ってこなかった。先送りされた問題が表出したことが、関係が冷え込んだ原因だ」と話した。その上で、朝鮮出兵で両国関係が悪化した近世初期、対馬を治める宗氏が朝鮮側と率直な話し合いを重ね朝鮮通信使を実現させたことを例示。現代でも日韓基本条約で解決していない文化財返還などの課題を両国間で話し合うシステムを構築する必要があると主張し、そのための世論作りを担う責務がメディアにはあると強調した。

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