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「情報管理、統一運用を」 清水勉弁護士 秘密保護法で講演 マス倫研究会

 第13期第3回マスコミ倫理懇談会「メディアと法」研究会が12月3日、新聞協会会議室で開かれ、政府の情報保全諮問会議委員を務める清水勉弁護士が10日に施行される特定秘密保護法をめぐる問題について講演した。運用基準の策定までの議論を紹介し、取材・報道の課題について指摘した。

 清水氏は、これまで国家秘密の存在が社会的に問題視されてこなかったことを踏まえ、法律の合理性を支える立法事実がないとして同法は不要だとの基本的な立場を示した。また、秘密保全は情報管理の問題と位置付けるべきで、行政の適正管理義務規定で対応できると主張。省庁ごとに情報管理や公開状況がまちまちであることを指摘し、運用を統一すべきだとの考えを明らかにした。

 清水氏は、情報保全諮問会議の委員として同法の運用基準策定に関わった。法律を超えられない制約の中で、内部告発者の秘匿が努力義務から義務に修正されたことや、公益通報者保護制度に対する議論が深まったことが収穫だったと評価。一方、内部告発する際の資料が実物ではなく、要約版に限定されてしまったのは運用基準の限界だと説明した。過失漏えいが罪に問われかねない中、要約の仕方を誤ると犯罪になってしまう可能性があるのは問題だとした。

 また、特定秘密の指定対象となる四つの項目のうち、「特定有害活動の防止」と「テロリズムの防止」について、拡大解釈の危険性が大きいと指摘。警視庁公安部の判断に任されていることにも懸念を示した。

 特定秘密保護法の施行で報道や表現の自由への影響が懸念されているが、清水氏は10月に過激派組織「イスラム国」への参加を計画した北大生が、警視庁公安部に刑法93条の私戦予備・陰謀罪の容疑で家宅捜索を受けたことを例示。明治以来初めて適用された条項であるにもかかわらず、簡易裁判所が慎重に議論しないまま捜索差押許可状を出したことは司法のチェック機能の欠落であり、メディアも十分に報道していないと指摘。公安部についてあまり報じられていない印象があるとし、「メディアは萎縮、自粛していないか」と問い掛けた。さらに、特定秘密保護法が初適用される場合に、メディアは公安部ときちんと対峙(たいじ)していかねばならないとした。

 「特定秘密保護法が施行されると戦前のような社会になるのではとの懸念があるが妥当か」との出席者の意見に対し清水氏は、政府が暴走しそうになっても監視・抑制する力が働く点で戦前とは違うと答えた。さらに、同法と軍機保護法は異なるにもかかわらず、一部のメディアは混同しているのではないかと述べた。「一般市民が原発の予備電源の位置について問い合わせた場合、教唆罪に当たるとの報道もあったが適切か」との質問には、特定秘密に該当するかどうか分からない段階で罪に問われることはないとの考えを示した。

 同法への一般市民の反応を見ていると、正しく理解しているのか疑問だと述べ、メディアは国民に正しく情報を伝えていく必要があると訴えた。

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