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「忘れられる権利」で講演 資料管理講座 新聞協会

DB運用、留意点を説明

 新聞協会主催の第47回資料管理講座が2月26、27の両日、事務局会議室などで開かれ、新聞・通信・放送各社のデータベース事業担当者ら35社65人が参加した。初日は、インターネットに掲載された個人情報の削除を求める「忘れられる権利」に関し、報道機関がデータベースやアーカイブを運用する際に留意すべき点について講演を聞いた。

 欧州司法裁判所(ECJ)は昨年5月、米グーグルに対し検索結果から自分の情報を削除するよう求めたスペイン人男性の主張を認める判決を出した。中央大の宮下紘准教授は判決について、EU域外の米グーグルに対して適用された点や、検索エンジンの運営者を管理者とし、複製されたリンクの管理責任を認めたことが特徴だと指摘。欧州委員会は判決を受けて昨年11月、データの主体や正確性などを問う13項目の削除基準を公表した。報道目的であれば削除されにくいという。

 宮下氏はECJの判決を踏まえ、日本の報道機関がデータベースを運用する際の留意点として、EUで域外適用が認められたことから、「海外から削除要請があった場合に対応する必要が生じる可能性がある」と説明した。また、「忘れられる権利」の法的性格について、「記事の削除を命じたものではなく、検索サイトにリスト化されない権利だ」と述べた。

 欧州で「忘れられる権利」が認められた背景には、ナチス時代のドイツが大量の個人情報を管理し、ユダヤ人大虐殺につながった歴史があるという。宮下氏は「表現の自由を重視する米国の文化とは大きな違いがある」と述べた。

 参加者から「不起訴などの場合、人権・プライバシーへの配慮から記事データを匿名化する必要はあるか」との質問があった。宮下氏は「個人情報保護法50条1項は、報道目的は適用除外だと規定している」と述べ、不要だとの見解を示した。「記録の保存と個人情報保護の折り合いをどうつけるべきか」には、「時の経過とともに情報公開が進むアーカイブと、反対に保護されていく個人情報の概念は矛盾する。どのような情報を蓄積していくか、社内で基準を設けて判断すべきだ」と答えた。

 このほか、国立情報学研究所の大向一輝准教授が、学術情報のアーカイブ化などを紹介。2日目は国立公文書館を見学した。

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