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個人情報の範囲拡大へ 改正法案を閣議決定 政府

第三者委員会の設置も

 政府は3月10日、個人情報保護法の改正案を閣議決定し、国会に提出した。指紋や顔の認識データといった身体的特徴に関わる情報を新たに加えるなど、保護対象とする個人情報の範囲を拡大。個人情報の適切な取り扱いを指導・監督する第三者機関「個人情報保護委員会」の設置も盛り込まれた。

 改正は、新たなビジネスやサービスの創出、既存産業の活性化を目指し、個人の行動にまつわるパーソナルデータの活用を図ることが狙い。政府IT総合戦略本部「パーソナルデータに関する検討会」(座長=宇賀克也東大大学院教授)が昨年6月に大綱を定め、それを基にした骨子案が同12月に発表されていた。

 個人の特定につながるデータを削除するといった加工を施すことにより、企業など第三者へのデータ提供が本人同意なしで可能となる。人種や信条、病歴、犯罪歴などは、取り扱いに厳重な注意が必要な「要配慮個人情報」と定め、本人の同意を得ない取得を原則禁止した。

 改正案では、報道目的での個人情報の取り扱いを規制の対象外とする現行法の50条や、適用除外分野の事業者に個人情報を提供する行為について主務大臣が権限を行使しないとする35条の規定は維持された。しかし、新聞・通信社にはそもそも主務大臣は存在せず、改正後は、個人情報保護委員会が実質的に主務官庁として機能することが想定される。

 改正案は個人情報を取り扱う事業者に厳格な管理を求める。報道目的以外で取得する個人情報、例えば読者情報や主催事業の参加者情報は委員会の監督対象となる。パーソナルデータ検討会の委員を務める東大大学院の宍戸常寿教授は、これらの情報の管理不足を理由に報道機関に立ち入り検査が入った場合、報道目的の資料も検査対象になる可能性があると指摘する。

 要配慮個人情報は、本人の同意を得ない情報取得が制限されることから、適用除外分野である報道機関による情報入手も難しくなることが懸念される。宍戸氏は「一般に流通しないこれらの情報を報道機関が伝える場合は、報じる意義を説明する社会的責任が一層大きくなる」と話す。

 改正案は個人情報の厳重な保護だけでなく、適切な利用促進についても言及する。宍戸氏は、保護委員会が策定するガイドラインや政令が実質的に個人情報の範囲や制度運用を決定付けることから、表現・報道の自由に理解を示す有識者が委員に任命されることが重要であると指摘。「正当な個人情報の提供は社会の利益にもなる。保護と利活用のバランスを取り、しかるべき情報が流通するよう報道機関は訴えるべきだ」と話した。

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