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「拘束前の政府対応、検証を」 常岡浩介氏 IS人質事件と報道で講演

 マスコミ倫理懇談会全国協議会の4月度例会が13日、新聞協会会議室で開かれ、フリージャーナリストの常岡浩介氏が過激派組織「イスラム国」(IS)による日本人人質事件とメディアをテーマに講演した。常岡氏は人質事件の検証について、「ISによる映像公開後の政府の対応は話題になっているが、重要なのはそれより以前の経緯だ」と指摘。一連の事件のきっかけとなった湯川遥菜さん拘束時にさかのぼり、人質事件になる前に対処できなかったかを検証する必要があると述べた。

 常岡氏はこれまでに3回、ISを取材してきた。昨年8月にISから、拘束した湯川さんの通訳を依頼され、イスラム法学者の中田考氏とともに9月にシリアに渡航。IS幹部には取材できたが、湯川さんへの接触はかなわなかったという。

 10月に再渡航を予定していたが、私戦予備・陰謀罪の容疑で警視庁公安部の家宅捜索を受け出国できなかった。常岡氏は「ISとの交渉は水面下で進める必要があるにもかかわらず、公安部はその機会を奪った」と批判。本来、邦人拘束事件に対処すべきである警視庁や警察庁の対応が問題視されていない点を指摘した。

 常岡氏は、ISへの参加を計画したとして同罪容疑で取り調べられた北大生も取材した。「ISはおろか、イスラム教にすら興味がないことは話を聞けば明白だった。参加計画を吹聴して後に引けなくなったような印象を受けた」という。警視庁は湯川さんを救助するために動くべきだったのではないかと強調した。

 これまで各国のジャーナリストがISを取材してきたが、拘束されなかったのは常岡氏とドイツ人作家の2人だけだという。常岡氏は取材時の安全を確保するために、IS旗の前で銃を持ったり同組織の幹部と撮影したりした写真をSNSに投稿し、批判を受けたことを紹介。アルジャジーラからは「我々のモラルと合わない」と指摘されたという。

 これらの批判に対し、常岡氏は「非常識な手法だと承知しているが、ISの実態を取材し報道することが最優先だと考えた」と説明。武装して取材しているわけではないとして、取材者としての中立性は放棄していないと主張した。

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