1. 日本新聞協会トップページ
  2. すべてのヘッドライン
  3. 新聞協会ニュース
  4. WLB推進、報道組織の存続に不可欠 メディア戦略セミナーで討議 新聞協会

WLB推進、報道組織の存続に不可欠 メディア戦略セミナーで討議 新聞協会

 新聞協会主催の第8回メディア戦略セミナーが4月23日、「新聞・通信社のワーク・ライフ・バランス(WLB)推進に向けて」をテーマに事務局会議室で開かれ、新聞・通信社の経営幹部ら40社66人が参加した。NHK人事局の泉谷八千代WLB推進事務局長は基調講演で「20年、30年後もマスメディアが存続するためには、WLBや組織の多様性の推進が不可欠だ」と指摘。パネル討議では、WLBについて経営的視点から意見が交わされた。

 NHKは今年1月、「20年の女性管理職の割合を14年度(5.2%)の倍以上とし、30年までに30%に到達させる」との数値目標を公表した。泉谷氏は「長時間労働など働き方を見直し、育児・介護と両立できるような男女ともに働きやすい職場作りをしていかないと組織に限界がくる」と説明。数値目標の設定はWLB推進の指標の一つになると述べた。

 パネル討議は、読売東京の小笠原忍常務取締役、日経の石川一郎専務取締役、河北の小野木克之取締役、山陽の武本敏武常務取締役の4人が登壇。共同の飯田裕美子両立支援室長がコーディネーターを務めた。

 WLBや両立支援のための取り組みは、離職率を抑え優秀な人材を確保するためにも重要だ。マスメディアは長時間労働が当たり前との認識があり、意識改革は容易ではない。

 石川氏は「一部を除き原則21時以降の残業を禁止し朝昼型の勤務を推奨したところ、子育て中の女性社員も働きやすい環境になった」と取り組みを紹介。同社の女性比率は全体の約14%で、ここ10年では新入社員の3割以上が女性だ。紙面や経営に女性の視点が欠かせなくなっている中、今後は産休・育休取得中の欠員をどうカバーしていくかが課題だという。

 読売の女性社員数は15.3%(14年)。昨年、マスメディアで初めて事業所内保育所を設置するなど、制度・施設を充実させている。しかし、子供を持つ女性記者の担当は生活・文化面などに集中しがちで、生ニュース面を希望する女性記者はほとんどいないという。地方支局への転勤は男性記者が多数を占める。「生ニュース面と生活・文化面の人材交流や、子供を持っていても生ニュース面を担当できるというモデルを示すことが今後の課題だ」という。

 女性比率が13%の山陽は11年、労使でWLB協議会を設置。男女雇用機会均等法施行後は毎年、女性を採用してきたが、離職率は4割と高かった。協議会の下に設けた「働き方見直し委員会」で女性の働く環境の整備を討議し、短時間勤務を従来の小学校入学前から小学3年まで拡充するなど制度を改善した。

 河北は07年にWLB推進委員会を作り、08年に地方紙で初めて「くるみん(次世代認定マーク)」を取得。女性社員の割合は12%程度で推移している。07年以降業務の効率化が進んでいたが、東日本大震災で記者の取材環境が激変。震災前のような業務効率化は図りきれていないという。

 経営的な視点から武本氏は「少数精鋭の人員で経営を維持するには優秀な人材確保が不可欠だ。男女ともに働きやすい環境を整備しなくてはならない」と指摘。小笠原氏は「WLBが経営的にどんなメリットがあるか、成果をはかる尺度を見つけていきたい。限られた経営資源の中でWLB推進にかかるコストをどう位置付けるか考えていきたい」と話した。

ページの先頭へ