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指摘内容、記者への浸透推進 紙面審査全国懇 担当者らが意見交換

 第55回紙面審査全国懇談会が5月28日、事務局会議室で開かれ、紙面審査部門の現状やイスラム過激派テロ報道をテーマに記事・紙面審査担当者ら36社50人が意見交換した。このほか、池内恵・東大先端科学技術研究センター准教授が「イスラーム国はどこから来たのか」をテーマに講演した。

 事前に実施したアンケートでは、紙面審査の内容が現場の記者に共有されず、紙面の質の向上につながっていないといった課題が多くの社から寄せられた。こうした中、課題解決に向けた取り組みの事例報告があった。

 編集局内に審査部門を置くことでチェック機能を高めているのが共同だ。同社は今年4月、記事審査チームを編集局に移管。記事審査室と改称し、室長を編集局長が兼務している。第三者委員会「『報道と読者』委員会」の事務局も2月から編集局内に移管した。審査室編集長と第三者委員会の事務局長を務める美浦克教企画委員は「外部からの指摘や加盟社からの意見が生かされているかを含めて編集局内で一元的に点検している」と話した。

 読売が昨年12月に編集局内に設置した適正報道委員会は、記事掲載前に調査報道や独自ネタといった記事を審査する。委員会は3人で構成。中村明東京本社紙面審査委員長は「第三者的にアドバイスすることで、記事のブラッシュアップにもつながっている」と説明した。

 審査内容を記者に伝える週報や月報を発行している社は多いが、紙面への厳しい指摘が多いこともあり、なかなか読まれていないのが現状だという。記事に対する肯定的な評価や、具体的なアドバイスを掲載することで記者への浸透を狙うなど、従来の審査体制の枠組みの中での工夫も紹介された。

「イスラム国」報道を検証

 過激派組織「イスラム国」(IS)の日本人人質事件や仏週刊紙シャルリエブド襲撃事件など、イスラム過激派のテロ報道をめぐる報道についても検証した。

 毎日はフリージャーナリストの後藤健二さん殺害の翌日、ISが投稿した動画を1面に掲載せず、後藤氏の生前の写真を使用した。小泉敬太新聞研究本部長は「後藤氏への敬意、家族への配慮、プロパガンダに乗らないといった観点から判断した」と話す。一方、時代を記録するという使命も考慮し、3面で投稿された動画を使用したという。

 ISが配信する動画の扱いについて、プロパガンダを助長しない一方で、記録性や読者の知る権利に応えるといった観点もあり、各社の判断は分かれた。

 預言者ムハンマドを表紙にした週刊紙シャルリエブドの風刺画転載に関しても同様に判断が分かれた。

 共同は夕刊帯に記事のみを、朝刊帯に写真を配信した。編集局長や外信、写真部長らと協議した結果、通信社として新聞社に素材を提供しないわけにはいかないと判断し、写真を追加配信したという。一方で、宗教に対する冒とくなどの懸念を考慮し、掲載することのリスクをニュースセンター長名でまとめ各社に配信したという。

 池内氏は、日本の報道ではコーランをはじめとするイスラム教の思想体系が理解されていないと指摘。「それらを知った上で、取材し報道する必要がある」と述べ、規範体系やイスラム国の誕生までの歴史を解説した。

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