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「イスラム国」 背景を分析 池内恵東大准教授らと意見交換 長野市で論説責任者懇

 新聞協会論説責任者懇談会が6月5日、長野市のホテルメトロポリタン長野で開かれ、新聞・通信・放送45社47人の論説・解説責任者らが参加した。東大先端科学技術研究センターの池内恵准教授が「イスラム国」成立の背景と実情について参加者と意見を交わした。このほか、写真家の宮崎学氏が獣害問題、小説家の井出孫六氏が石橋湛山の生涯について、それぞれ講演した。

 毎日の小松浩論説委員長と信濃毎日の丸山貢一論説主幹が議長を務めた。

 池内氏はイスラム国を理解するためには、現代の国際社会における異教徒の支配を「ジハード」により除去すべきだとの考え方(グローバル・ジハード)を掲げる勢力の思想的変容と、中東の国際政治関係の変動の二つの視点が必要だと指摘。「国際的な法規範と相いれないジハードの概念は、欧米や日本のメディアではイスラム教の通常の教義ではなく過激派が唱える思想だとの偏見がある」という。

 しかし、池内氏は「ジハードはコーランに明記されイスラム法学書で定説となったイスラム教の正統的な教義だ」と説明した上で、「近代的な国際法秩序に組み込まれるにつれて、それに従わず軍事的ジハードをすべきだという勢力が出てきた」と分析。1979年のソ連のアフガン侵攻を契機にグローバル・ジハード勢力が活動し始めたという。

 その後、9・11以降の対テロ戦争により、追い詰められたアルカイダなどの勢力が分散。その中から生まれたのがイスラム国だという。池内氏は「2011年初頭から本格化した民主化運動・アラブの春が、結果として中央政府の動揺と統治されない地域を生み出したことも勢力拡大につながった」と説明した。

 テレビ朝日・三反園訓コメンテーターの「日本への影響をどう考えるべきか」との質問に対し、池内氏は「イスラム国は日本を特別視していない」と説明。また、各地の内戦で石油施設を抑えた民兵集団が輸出を妨げていないことから、国際経済を途絶させるような影響力は持たないだろうと述べた。

 丸山議長は、講演や懇談を通して「長い時間軸の中で物事を見ること、ステレオタイプな見方に逃げ込まないことという二つの視点を得られた」と総括した。

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