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各分科会で報道の在り方議論 マス倫全国大会(金沢市) 

戦争体験、次世代に継承へ

 マスコミ倫理懇談会全国協議会の全国大会参加者は10月1日、テーマごとの分科会で討議を行った。戦争体験の継承や、インターネット時代の報道倫理など、変革の時代にメディアに求められる役割や課題について議論した。

 戦後70年報道―歴史認識と戦争の記憶が揺らぐ時代にメディアの果たす役割とは 歴史認識のずれが先鋭的に表れる東アジア。日本国内でも、安倍談話への評価が分かれるなど、一つのストーリーを共有できているとは言い難い中で、メディアはどうあるべきかを討議した。ジャーナリストの江川紹子氏が講演し、さまざまな見方のある歴史に対し、自虐的あるいは独善的な視点ではなく、バランスを取って見つめることの大切さを訴えた。会場の若手記者からは、歴史認識の問題について若い世代が議論できるような機会を、メディアとして提供していきたいとの意見が出された。今後も、歴史認識に注視して報道していくことを確認した。

 また、戦後70年の企画取材に取り組んだ30代前半の記者3人が登壇し、戦争体験の継承をテーマにパネルディスカッションを行った。毎日・編集編成局社会部の山田奈緒記者は、戦争体験の証言について裏を取る難しさを挙げた。また、同世代の若者にどう興味を持ってもらうかに心を砕いたとし、戦争体験者の証言を伝える企画「千の証言」で、若者にもなじみのある著名人を取り上げるなどの工夫をしたと紹介した。共同・社会部の宮城良平記者は、サイパンでの取材について報告。高齢化により、話を聞ける体験者が当時少年だった人に限られてきていると指摘。「戦争の遂行者や加害体験を直接取材することができない」と葛藤を明かした。

ニュース価値の共有が必要

 ネット時代のマスメディア―求められる報道倫理や新たな役割とは スマートフォンやソーシャルメディアなどが普及したインターネット時代に、メディアが果たすべき役割を議論した。

 武蔵大の奥村信幸教授(メディア社会学)、弁護士・弁理士の神田知宏氏、毎日・デジタル報道センターの石戸諭記者、TBSの今市憲一郎社会部長によるパネル討議で、犯罪報道における容疑者・被害者の扱いが議論の的になった。

 今市氏は、人権への配慮の基準はネットがない時代から変わっていないとした上で、「配慮しすぎて正確性や真実性が犠牲にならないよう注意している」という。奥村氏は、報道機関がニュース価値の基準や根拠を読者や視聴者に公開し、共有していくことが必要だと強調した。

 ネットの普及に応じた報道の在り方についても議論が及んだ。石戸氏は「記事を出して終わりではなく、ネットを通じて読者とキャッチボールしながら次の記事につなげていくことが重要ではないか」と語り、記者が気付かなかった視点を読者から提示してもらえる可能性もあると指摘した。

風評、他地域発信で克服を

 災害をどう伝えるか~「風評」と「風化」を乗り越えるために 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を踏まえ、防災・減災報道の在り方などを討議した。

 東大大学院情報学環総合防災情報研究センターの関谷直也特任准教授は、福島県が行う米の全量全袋検査の結果が、県外の消費者には十分に伝わっていないと指摘。風評を克服するためにメディアが全国に知らせるべき情報は多いという。河北の寺島英弥編集委員は、2014年度産のコメは全国的に価格が下がったが、特に福島県産は下落幅が大きく、風評被害が続いていると報告。風評・風化を乗り越えるため、地元メディアが枠にとらわれず、紙面やネットなどあらゆる手段で他地域に向けて発信することが重要だと語った。会場からは、地方紙同士や、地方紙と在京メディアが連携し、相互に情報を伝えていくことが風評を乗り越えることにつながるといった意見が出された。

 このほか、地方創生に向けたメディアの役割、安保問題をどう報じるかをテーマとした分科会が開かれた。広告をテーマとする二つの分科会では「広告とメディアの独立性・信頼性」「規制緩和と広告の自主性」について議論した。

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