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多面報道、地方交流で融和を 第49回日韓編集セミナー討議

 第49回日韓編集セミナーの討議では、基調報告を受け、司法に対する考え方について活発な意見交換があった。両国世論の融和に向け、メディアの役割や地方の交流の大切さについても話し合われた。

 毎日東京の澤田克己外信部副部長兼論説委員は韓国の司法判断について、「判断の背景を日本メディアは掘り下げて伝えるべきだ。一方で、韓国メディアは、なぜ日本で理解されないのか考えてほしい」と述べた。澤田氏が例に挙げた対馬の仏像の返還を差し止める決定について、文化日報の金鍾鎬論説委員は「韓国でも、所有していた日本側に返却すべきだという論調が大半だ」と説明。韓国の反日感情、日本の嫌韓感情を減らしていくため、メディアが果たすべき役割は大きいと主張した。

 産経前ソウル支局長がコラムで、朴槿恵大統領の名誉を毀損(きそん)したとして起訴されている問題にも話は及んだ。韓国メディアの多くが、記事の内容は必ずしも良いとは言えないものの、政治的指導者が言論を圧するようなことがあってはならないと批判しているという。

 NHKの塚本壮一国際部副部長は、韓国の司法判断の政治的傾向が強い理由として、民主化闘争の影響などを挙げた。しかし、それを解説する番組が日本で理解されるのは難しいと指摘。KBSの甘一相解説委員は、韓国でも日本への理解を促す番組が国民の支持を得るのは難しいと述べた。「日本との国交正常化50年を記念する企画よりも、植民地解放70年をテーマにしたものが受け入れられた」

 ハンギョレ新聞の白奇哲編集局エディターは、現状の両国関係の下でメディアが果たすべき役割について、国益や国民感情に流されず、「普遍性、ヒューマニティーに立脚して報道すべきだ」と主張。塚本氏はミャンマーでの日韓の経済協力を紹介したNHKの番組に触れ、「両国関係の多様な姿を紹介すべきではないか」と提案した。

 国同士の政治的な関係は冷え込んでいるが、地方や個人同士による草の根の交流が関係を改善させていくのではないかという意見も出た。河北の鈴木素雄取締役編集局長は、自らの呼び掛けで今年7月に仙台市で開いた「日韓地方紙フォーラム」について紹介した。日韓の地方メディアの関係者が意見交換した経験から、「外交関係で対立していても、地方の交流から融和に向かうのではないか」と訴えた。

 各地域の特性を反映した意見も出された。福島民報の荒木英幸東京支社長は、東京電力福島第一原発事故後、韓国が日本の農水産物の輸入を規制する現状を憂慮。「日本で厳格な審査を経た農産物を規制する韓国政府の考えを注視してほしい」と注文した。毎日経済新聞の金雄哲企画特集部長は「輸入規制には、険悪な対日感情も影響しているのではないか」と指摘した。

 中国の下久保聖司論説委員は「核兵器という普遍的な課題について両国のメディア同士で取り組めないか」と訴えた。聯合ニュースの趙濬衝東京特派員は「韓国メディアは日本を加害国とばかりみて、被害の面を報じていないところがある」と話した。

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