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若者のニュース接触で議論 関西地区マス倫懇 「プッシュ通知」の重要性指摘

 関西地区マスコミ倫理懇談会の例会が2月10日、「スマホ時代のマスメディア!メディアが発信するニュースの課題」をテーマに大阪市北区の毎日インテシオで開かれた。新聞社、放送局、ネットメディアの関係者らが登壇。急速に普及するスマートフォン(スマホ)へのニュース提供の課題や留意点などについて討議した。若者にニュースを届けるためには、プッシュ通知が重要との指摘があった。14社27人が参加した。

 電通総研の奥律哉メディアイノベーション研究部長は、ログデータを基にスマホの利用率のピークは、正午ごろで、世帯別のテレビ視聴率を上回っているなどと説明した。スマホで利用が多いのはツイッター、フェイスブックなどSNSと、ラインなどのインスタントメッセンジャーであると紹介した。利用実態として、接触回数は多いものの、一回の接触時間は非常に短いと解説し「スマホでじっくりと記事を読ませたり、動画を見せたりするのは難しいのではないか」と提起した。

 神戸の西栄一ネクスト編集部長は昨年の統計から、本紙に掲載されなかった記事が、最もウェブ上で読まれていたと報告。「スキマの時間に気軽に読めるようなベタ記事の方がはるかにページビューが多い」と指摘した。

 ヤフーニュースの伊藤儀雄編集部リーダーは、月単位で見ると、2014年夏ごろからスマホでのアクセスがパソコンを上回るようになったと振り返る。スマホから読まれる記事は芸能やスポーツ、事件・事故といったジャンルが7割を超える中、編集方針は「公共性と社会的関心のバランスを取ることが重要だ」と強調。18歳選挙権や原発の再稼働といった記事はアクセスが少なくても「目に入る可能性があり、一つのきっかけになる」との判断からトップページに見出しを掲載しているという。

 スマホでの情報接触が中心になっている若年層の情報行動も討議。奥氏は「若者にとってのニュースとは、自分の周りの出来事であり、世間や政治、世の中のことではない。『半径3メートル』にしか興味がない」とした。その上で「若い人は10年後も同様の情報行動を取るだろう。今考えなければならない課題だ」と述べた。

 伊藤氏は「能動的に情報を見に行く大学生は少ない」と話した。学生はSNS上での友人とのやり取りや「スマホに送られてくる通知」という受動的な2パターンで情報に触れていると話す。「ロック画面にニュースを表示させるプッシュ通知が重要になっている」と指摘した。

 西氏は「良い記事を書けば読んでくれるわけではない。相手に届くようなニュースの調理が必要だ」と説いた。「いいね」ボタンを記事の後に掲載したり、イベントの予約ができるようにしたりするなど、「コンテンツとして価値を高めたい」と述べた。 

 ネット時代の人権に課題も 提供画像の確認方法を紹介

 ネット時代における人権や取材での活用についても議論した。神戸は兵庫県内で起きた少年事件で当初、加害者を実名で報じていたが、匿名に切り替えた。しかし、西氏は「記事を削除しても、匿名にしても、ネット上にキャッシュが残れば、実名も残る」と指摘。

 神戸は人権上の問題から、掲載後2週間で犯罪の記事を削除したものの、削除後も無断でコピーされてページが増え続けているケースがあり、「あえて残して、元の記事はこうだ、とたどれる必要があるのではないかと葛藤している」と明かした。

 報道各社はネットの利用者が提供する写真や映像を活用しているものの、真偽の確認が課題だ。ヤフーニュースは昨年の関東北部の洪水の報道でツイッターの写真を活用した。伊藤氏は「前後のつぶやきやフォロワー数などの属性や位置情報で真偽を確認する」と話した。

 朝日放送は昨年11月から、読者から投稿画像を募るサービス「みんながカメラマン」の利用を始めた。田上敦士ゼネラルプロデューサーは「当初、映像の真偽をいかに判断するかが大きな課題だった」と話す。「映像ではねつ造は難しいのではないか」と指摘した上で、投稿者本人に撮影者や撮影日時を確認しているとした。

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