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信頼生かし社会に貢献 新聞協会 メディア戦略セミナー 各社が事例報告

 新聞協会主催の第9回メディア戦略セミナーが4月14日、「新聞社のソーシャルグッド―新たな価値創造に向けて」をテーマに事務局会議室で開かれた。信頼性など新聞社の強みを生かした事業で社会に貢献したり、地域の課題を解決したりする取り組みが報告された。新聞・通信社の幹部ら105人が参加した。

 朝日メディアラボの取り組みについて、堀江隆室長と中西知子主査が説明した。メディアラボは新聞社の既成概念にとらわれない新商品やビジネスを開発している。

 社内の新規事業コンテストで提案されたアイデアを基に昨年3月、クラウドファンディングサイト「A―port」を始めた。夢やアイデアの実現を目指す起案者と資金援助で応援する人とを結び付ける。新聞社の信頼性や発信力で資金集めを支援する。夢に向かって挑戦しやすい社会がつくることで企業の協賛を得られ、収益を上げられるという。

 今後、A―portのシステムを地方紙に提供する。詳細は7月に発表するという。中西氏は「共感し合える他社と積極的に提携していきたい」と述べた。
 パネル討議では、中心市街地の空洞化や豊かな自然の再生、防災力の向上といった地域の課題解決に向けた事業に取り組む下野、福井、神戸が自社のプロジェクトを紹介した。

 下野は2012年6月、宇都宮市内に地域の人が集える支局併設のカフェ「下野新聞NEWS CAFE」を開設した。中心市街地の空洞化が社会問題化する中で情報発信やイベント開催などを通じ地域を盛り上げている。近隣の空き店舗の減少、下野への親しみやイメージの向上につながったという。綱川仁士営業部長(前地域貢献推進室長)は「地域が活性化したことを肌身で実感した」と話す。

 福井は09年4月~16年3月まで、福井県越前市白山地区に記者が常駐し、取材や農作業に当たる「コウノトリ支局」を設置した。コウノトリを呼び戻すための環境に優しい農業を通じた交流などにより、里山の活性化につながったという。遠藤富美夫執行役員論説委員長は、地域の課題に共に取り組むことが地元住民との距離を縮めるとした。

 神戸は地域の防災力を高めるため、地域の大学などと連携し災害時のリーダーを養成する「117KOBEぼうさいマスタープロジェクト」を14年から実施している。梶岡修一経営企画室長は、企画で関わった大学生は新聞を読んだことはなくても新聞に対する信頼性は高かったと指摘。「新聞社の信頼性の高さを軸に事業展開を図るべきだ」と述べた。

体験や感情 生活者と共有を 電通・北原氏 

 事例報告やパネル討議に先立ち、電通の北原利行電通総研メディアイノベーション研究部研究主幹が新聞社の置かれた状況や、新たな価値を作り出す必要性について講演した。

 北原氏は、インターネットの普及で誰もが情報発信をできるようになり、マスメディアの地位が相対的に低下したことや、スマートフォンをはじめ電子機器の普及で情報摂取が紙からネットへ移行していることなど、新聞社を取り巻く環境が変化していると説明。読者を増やすには、社会に貢献する新聞社の活動を知ってもらう必要があると強調した。生活者をターゲットとして捉えるのではなく、体験や感情を共有できる関係の構築が求められていると述べた。

 ニュースを届けるだけでなく、地域社会の課題解決など多様な形で社会に新たな価値を生み出す「ソーシャルグッド」が新聞社への共感を生むという。「生活者や地域、企業とともに社会の課題解決に取り組む存在になるべきだ」とした。

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