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【熊本地震】地方紙記者が現地取材 東日本、阪神の教訓を意識

 熊本地震は5月14日、前震の発生から1か月を迎えた。地方紙も多く現地に記者を派遣し、被災地の現状を伝えている。東日本大震災や阪神大震災に見舞われた各社は現地取材を通じ、広域避難の必要性や、福祉避難所の重要性を繰り返し検証する。一方、東海地震や南海トラフ地震の被害が想定される地域の新聞社は、将来に備えて地元の防災意識を高めることを目指す。

 東日本大震災に見舞われた東北地方からは岩手日報、河北、福島民友が熊本に記者を派遣した。阪神大震災を経験した神戸も送った。

 このうち岩手日報は関東・東北豪雨(2015年)などの災害時にも現地で取材した。今回は4月18~22日、3人を派遣した。「東日本大震災の教訓を意識しつつ、さまざまな災害への備えを高める」。神田由紀報道部長は狙いを話す。

 東日本大震災では、被災地の周辺自治体による広域連携の重要性が指摘された。熊本地震は14日、震度1以上の揺れが1430回を超えた。避難所に想定以上の人が集まった。建物の安全性に不安を感じ、自家用車に泊まる人も多い。神田氏は「広域避難の重要性が明らかになり、改めて自治体の広域連携の必要性が浮き彫りになった」との見方を示す。連載記事でこの問題を取り上げた。

 神戸は15日から1か月間断続的に記者を派遣し、計8人が現地を取材。高齢者や障害者らを受け入れる福祉避難所を取り上げた。阪神大震災後から重要性が指摘されていたにもかかわらず、避難者が殺到し熊本県益城町では開設できなかった。人があふれる一般の避難所で夫の介護をしなくてはならない高齢の女性の実情を取り上げた。併せて県自治体の福祉避難所の準備計画も検証し、見直しが急務と記事で述べた。西海恵都子報道部長は、何度も言われながら対策が進んでいないと指摘。「課題を繰り返し伝え、一人一人の防災意識を高めることにつなげたい」と話した。

将来の震災に備える社も 女性目線、読者の疑問生かす

 東海地震の危険性が提唱され40年がたつ。静岡は地震発生直後の4月15日から約2週間、社会部を中心に計8人の記者を派遣した。16日付から7回連載で住宅被害、長引く避難生活などを報道した。取材や写真撮影が許可されない避難所も多かった。「避難が長期化し、被災者は疲労を重ねている。取材で配慮すべきことは多い」(川内十郎社会部長)ことを改めて痛感したという。

 女性記者の視点や読者の疑問も生かした企画も載せた。他県の災害で初の試み。川内氏は「災害が起きたとき、どう行動すれば良いか。自分のこととして読んでもらいたいと考えた」と話す。

 女性記者による企画「こちら女性編集室(こち女)」では、避難所でおむつ交換や授乳のための場所が少なく、トイレが男女共用など女性や子育て家庭への対応が遅れていると指摘した。

 地域の防災隊長から「避難行動や避難生活で、地域社会の共助は働いているか」という疑問に応え、熊本市の避難所で地域住民や、中・高校生も協力し炊きだしの準備をする姿を紹介した。

 南海トラフ地震で大きな被害が想定される地域では、中日、徳島、愛媛、高知、宮崎日日が熊本で取材する。「地震への意識をさらに高め、対策を進める」(徳島・松本真也社会部長)と目的を説明した。

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