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【参院選報道を振り返る】各党の政策を点検 読者の関心で論点設定も

 参院選報道で報道各社は、憲法改正など与野党の議論がかみ合わない争点や、問われるべき論点をどう報じるかにも心を砕いた。公示後の党首討論は1度きり。各党が示した論点は深まらないままのものが多かった。各社は参院選で何を論点とすべきか社内で議論を重ね、各党の政策を点検。世論調査の結果に基づき、読者の関心が高い論点について識者の視点やルポを交え連載や企画を展開した社もある。

 NHKの二瓶泰明ニュース制作センターテレビニュース部チーフ・プロデューサー(前政治部副部長)は「アベノミクス、社会保障、憲法・安全保障の3テーマを中心に視聴者が判断しやすいよう各党の公約や動向を報じた」と振り返る。読売は「参院選2016 政策点検」で経済政策をはじめ、憲法、教育などを巡り各党の公約や主張を検証した。「与野党の主張が比較できるような紙面を作りを心がけた」(橋本潤也政治部記者)。

 毎日東京の中田卓二政治部副部長は「経済政策や憲法も重要な論点だが、問われるべき政策は他にもあった」と指摘する。毎日は公示前に連載「日本のゆくえ」第1部で、アベノミクスのほか世論調査で関心が高かった介護・子育てなど合わせて八つの論点を提示。「各テーマごとに識者に論点を語ってもらい、1面・社会面のルポを連動させた」。公示後に同じ論点を取り上げ第2部を展開。各党の主張や議論の動向を点検した。

 朝日東京の西山公隆政治部次長は「憲法が争点とならないまま、国の在り方が変わるかもしれない選挙」とし、結果をにらんだ紙面作りを心がけたと話す。憲法や安全保障などを問う企画にも力を入れた。

 選挙区の投票率は54・70%。前回参院選は上回ったものの、低い水準にとどまった。参院選公示後に英国のEU離脱やバングラデシュのテロ事件、東京都知事選の候補者選びなど大きなニュースが相次いだ。各社はさらに有権者の関心を高める工夫をする必要があると話す。

18、19歳意識し企画展開 「です・ます」調や図解で工夫

 国政選挙で初めて選挙権年齢が18歳以上に引き下げられた。新たに選挙権を得たのは全国で約240万人。総務省の調査によれば18歳の投票率は51・17%、19歳が39・66%となった。予想されていた投票率より高いとの声も聞かれた。

 各社は政策課題や論点を18、19歳を含む有権者に分かりやすく伝えるために工夫した。読売は「18歳のあなたへ」で新有権者が政党や政治家とどう向き合うべきか、18歳世代が重視する争点を挙げ編集委員がかみ砕いて伝えた。文体も「である」調ではなく「です・ます」調にするなど新有権者を意識した紙面作りを心がけた。読売中高生新聞でも早くから特集を展開した。

 共同は昨年12月から「18歳からの1票」を配信する。選挙制度や民主主義の仕組みなどを図解やグラフィクスを多用して説明する。

 朝日も新有権者の質問に有識者が答える「18歳・19歳のギモン」を載せた。毎日も社会面を中心に20歳未満の若者にインタビューするワッペン企画「政治しようよ」を随時掲載した。

 NHKはウェブサイトに選挙の特設ページを設け、ネットでの展開も注力した。新有権者も見据え、放送内容をウェブ用に分かりやすく出した。

 各社はこれまで主権者教育を意識した報道や紙面作りに力を入れてきた。橋本氏は「総じて投票率が低い傾向にある若年層の中にあって、18歳の投票率が比較的高かったことがニュースだ。学校現場での主権者教育は一定の効果があったのではないか」とみる。

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