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記事配信の収益化探る デジタル事業 利用者データの活用も 新聞協会セミナー

 新聞協会メディア開発委員会は9月15、16の両日、デジタルメディアセミナーをニュースパーク(新聞博物館)で開いた。初日はSNSやニュースアプリへの記事配信を増やしつつ、どう収益に結び付けるかを議論した。利用者データの活用法についても意見交換した。新聞・通信社53社96人が参加した。

 「ニュースのフォーマットと流通はどう変わっているか~ユーザーの視点でみたメディアの未来」をテーマに討議した。講談社でウェブサイト「現代ビジネス」の編集を手掛ける佐藤慶一、ヤフーの苅田伸宏、スマートニュースの松浦茂樹の各氏が登壇した。朝日東京の大西弘美執行役員が司会を務めた。

 佐藤氏はSNSやニュースアプリの普及によって、ニュースへの接点が増えたと指摘。フェイスブックのようにSNS内でニュース閲覧を完結させる事例も増え、プラットフォームの求心力が大きくなっているとして、利用者を自社サイトに呼び込む発想では、多くの人に記事を読んでもらうことはできないと述べた。多くの利用者が集まるプラットフォームに、積極的に配信先を広げるべきだと提起した。

 外部プラットフォームへの配信先を拡充すれば、ニュースが多くの人に届く半面、十分な収入は得られない。会場からは「ニュースを作る費用の対価を得られなければ、ビジネスとして続けられない」との声が出された。

 これに対し、スマートニュースの松浦氏は「可能な範囲で利益を還元し、分配の割合などもメディア側に開示している」と話した。ヤフーの苅田氏も「記事にリンクを張ることで、新聞社のサイトへの集客を増やしている」と述べた。

 利用者の反応や好みを記事選択に反映するSNSやニュースアプリの仕組みを、新聞社がどこまで取り入れるかについても議論した。

 佐藤氏は「現代ビジネス」の全編集者が、リアルタイムでSNS上のシェア数などを確認していると述べた。さらに、編集者が広告収入の推移もチェックできるようにしているという。「コンテンツを作るだけでなく、一人一人が収益も意識している」と語った。

 毎日新聞の記者からヤフーニュース編集者に転身した苅田氏は「読者の反応にとらわれ過ぎてはいけない。しかし、記事を書く上で、どうすれば読まれるかを意識し、数値を参考にしながら改善していくことが必要だ」と述べた。

コミュニティー構築が鍵 広告主は新聞社の提案力に期待

 2日目は「ユーザーのニーズを把握し、エンゲージメントを高めるには」と題しパネル討議を開いた。デジタル空間での消費者とのコミュニティー作りに、地域とつながる新聞社の強みを生かすべきとの指摘が出された。

 サッポロビールの鈴木雄一、コンサルタント会社アビームコンサルティングの本間充、ウェブメディアを運営するメディアジーンの今田素子の3氏が登壇した。静岡の奈良岡将英経営戦略推進部副部長がコーディネーターを務めた。

 鈴木氏はコミュニティー作りの先行例として、SNSなどでビール愛好者を募り、交流や商品開発につなげた事例を紹介した。直接の取引先である流通・卸事業者だけでなく、消費者の声を拾うために始めた。自社銘柄の宣伝ではなく、ビールそのものをアピールし、サイトへの集客と定着につなげたと話した。

 元花王の本間氏は「消費者のニーズが多様化する中で、ターゲットを定め、効率よく情報を届けることが重要だ」と述べた。広告主企業にとり、消費者との関係作りがこれからの課題だと指摘した。その上で「新聞社がイベント設計や、地域コミュニティーとの付き合い方などのノウハウを生かし企業に提案できるのではないか」と期待を込めた。

 今田氏も新聞社の培ってきた読者とのつながりに注目した。商品販売やクラウドファンディング、求人まで行う同社のサイトを例に「読者を対象に、新しい技術を生かした様々なサービスを提供することが重要だ」と提案した。

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