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臨場感ある表現に期待 報道へのVR活用巡り討議 朝日がパネル主催

 朝日新聞社は10月4日、仮想現実(VR)技術を活用した報道の可能性をテーマにパネル討議を開いた。海外メディアや朝日の活用事例が報告された。臨場感あふれる表現に期待する意見があった一方、360度を映し出すことで生じる問題点も指摘された。

 2016年は「VR元年」といわれる。理化学研究所の藤井直敬氏は、安価で高性能な撮影機材が登場したことや、スマートフォンで簡単に視聴できる特性を挙げ「VRはこれから間違いなく日常に入り込んでいく」と指摘した。

 メディアのVR活用も進む。朝日のデジタル事業を統括する大西弘美執行役員は、英BBCの「We Wait」と題する映像を紹介した。シリア難民への取材を再構成した内容で、難民が欧州に渡ろうとして失敗する場面をCGで表現する。船の揺れや波の音まで再現し、緊迫した状況を疑似体験できる。

 広告に利用する試みも始まった。米紙ニューヨーク・タイムズは昨年、自動車「mini」の広告映像を制作した。スマホに装着して使う段ボール製のゴーグルを読者に配り、話題を呼んだ。大西氏は「VRは感情に訴える強力な表現方法だ。遠くの世界で起きたことを、身をもって体験できる」と語った。

 朝日は昨年から、海中のサメが集まる場所や、水族館の水槽内から撮った360度映像を「いきもの目線」と題してウェブサイトに掲載している。今年8月にはリオデジャネイロ五輪に合わせ、コルコバードの丘に立つキリスト像といった会場周辺の観光名所など5か所の動画を配信した。

 樫山晃生映像報道部次長は、VRに適した取材対象を模索している段階としつつ、想定される今後の課題に言及した。「紛争時の撮影で、遺体の映り込みをどうするか。360度全てが被写体になるため、肖像権の問題が生じる可能性もある。時と場合によって、写真や動画と使い分けることも必要になるだろう」と話した。

 朝日地球会議のスペシャルセッション「VRジャーナリズムの可能性を探る」は4日、東京都千代田区の帝国ホテルで開かれた。

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