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作り手の都合と論理優先 連載取り消しで検証と防止策 中日

匿名報道の注意点を徹底

 中日新聞社は11月1日、「新貧乏物語」の連載2本に誤りがあったとして記事・写真を取り消した問題で、エピソードを創作した記者や編集幹部を処分した。10月30日付朝刊に検証記事を掲載し、捏造(ねつぞう)や写真の自作自演を防げなかった要因に「読者や取材相手よりも作り手の都合や論理を優先した」ことを挙げた。再発防止に向け記者やデスク教育を強化するほか、匿名で記事にする時の注意点を徹底するとしている。

 取材・執筆した29歳の記者を停職1か月、管理・監督責任を問い臼田信行取締役名古屋本社編集局長を役員報酬減額、寺本政司社会部長と取材班キャップをけん責の懲戒処分とした。

 検証は紙面審査室が担当。関係者の聞き取り調査を経て、外部有識者4人を交えた「新聞報道のあり方委員会」に結果を報告した。

 問題となったのは5月17、19日付朝刊に掲載された連載第4部「子どもたちのSOS」。初回の17日付では「パンを移動販売する少年」として、少年を関係者宅の前に立たせ、記者が家の中から玄関のドアを開けたシーンを撮った。この自作自演は、記者の発案・指示だった。

 降版後に発覚し、東京、北陸、東海の3本社版は写真を差し替えた。担当したカメラマンは「イメージ写真のつもりで撮った」と説明。検証記事では、写真の選択やキャプションの作成にカメラマンが参加しなかったことで「チェックする機会が失われた」と振り返った。

 19日付の記事は、病気の父親を持つ中学3年の少女について「バスケ部の合宿代1万円が払えない」などと記した3か所が捏造だった。取材した家族からの指摘で明らかになった。

 記者は少女に直接取材していなかった。調査に対し「エピソードが足りないと思い、想像で話を作った。自分が取材している家庭が、連載で1本も採用されないと思うと怖くなった」と話したという。

 キャップらは写真の自作自演問題を受け原稿を再点検する必要があると考え、事実関係を記者に確認したが見抜けなかった。この対応について検証記事では「別の記者に再取材させるべきだった」と指摘した。

 臼田信行編集局長は、再発防止のため「記者教育を充実させるとともに、チェック機能を高めるためデスク教育を強化する。匿名で記事化する際の注意点をあらためて社内で議論し、徹底していく」と話している。

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