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代替品の海路輸送が奏功 熊本地震の用紙供給で報告 資材管理講座

 在庫の分散化、海路による代替製品の確保、他メーカーとの連携、仕様統一への協力要請―。熊本地震による用紙供給危機を乗り切ることができたのは、こうした予防措置や打開策が奏功したからだった。第47回資材管理講座では、八代工場が被害を受けた日本製紙はじめ各製紙メーカーの新聞用紙部長らが災害対策について報告した。

 講座は11月25日、新聞協会会議室で開かれた。新聞各社の資材担当者ら31社46人が聴講した。

 4月の熊本地震で、日本製紙八代工場は10日間操業が止まった。16日の「本震」後、抄紙機などが停止し、巻き取り紙の立体倉庫で荷崩れが起きた。北海道や宮城県など自社の他工場からの代替納入を手配しつつ19日の再稼働を目指したものの、震度5の余震に2度見舞われ工場は全停止。これを受け、日本製紙は他メーカーへの応援を要請した。

 当時、九州営業支社長代理として現場を指揮した高木宏昌新聞営業部長代理は「繰り返される余震の中、難しい判断を迫られた」と振り返る。最終的に業界を挙げて対応に当たることになった以上、非常事態宣言を出すべきだったとの反省があるという。

 地震直後、八代工場は荷崩れが起きた立体倉庫の他に、平屋建ての倉庫などに約3週間分の在庫を持っていた。高木氏は「分散させていたことで、危機を回避できた。代替納入までこの在庫で対応した」と話す。

 震災後は支援物資の物流が急増するため、輸送手段の確保が急務となる。他工場からの輸送手段として最も有効だったのは、専用船や定期運航のフェリーだったという。運搬車の荷台をそのままフェリーに積み込み、大量の用紙を手早く運んだ。 

 用紙の仕様は新聞社ごとに異なる。高木氏は「他の工場やメーカーから応援を受けるに当たり、新聞社には通常と異なる製品を納入せざるを得ないことに理解を求めた」と話す。

 王子製紙の下山浩平新聞用紙部部長は「用紙の規格をそろえられれば、在庫を最大限に活用できる。生産や輸送の効率化にもつながる」とし、災害時の仕様統一を要望した。日本製紙の谷口哲章新聞営業部長は「新聞印刷工場の紙庫にもある程度の在庫を保管してもらえれば、さらにリスクを分散できる」と強調した。

 熊本地震の被害を受け、製紙連合会は災害対策要綱の見直しを進めている。新聞用紙委員長の判断で出していた非常事態宣言は「メーカーの要請を受け、委員会で決定する形式に変える」(長谷川祐気紙・板紙部調査役)。委員会が開けない場合は、宣言が出たと見なして対応に当たるという。非常事態宣言下では、新聞社に代替の用紙受け入れを要請するとともに、供給量が限られる恐れがあることを伝える。

 このほか、富士通総研の古本勉BCM訓練センター長が非常時の事業継続計画の策定や訓練実施の必要性について講演した。

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