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NIE効果検証 「見える化」で有用さ把握

検証広げ客観性の向上必要

 NIEの裾野を広げるため、新聞協会NIE委員会は効果検証に取り組む。新聞活用と学力や学習意欲の高まりの相関を探る試みは、これまでも学校や地域レベルで行われてきた。家庭での学習時間の伸長、協調性や提案力の向上といった効果が報告されている。NIE委が想定する全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を用いた効果検証では、学校長や教育委員会へNIEに取り組む説得材料とすることが期待される。

 福岡県飯塚市立の小中一貫校頴田校で中学社会科を担当する柴田康弘教諭は「NIEがもたらす大きな効果のうち、数値に表れるのは一部に過ぎない」としつつ、生徒の変容を把握することは重要だと話す。

 同校では新聞記事への感想や疑問、親や友人の見方、人の意見を踏まえて提言をまとめる課題に継続的に取り組み、生徒の変化を探った。記述内容から「他者との協調、交渉技能」「代替案の提示」「合意」など議論や思考の深まりが読み取れる生徒の割合が、初回の28%から1年後には62%にまで伸びた。

 沖縄県立教育センターの甲斐崇研究主事は、学習意欲や生活習慣に関する全国学力テストの児童アンケートを使い効果を測った。小学校の協力を得てNIE導入前後の違いを調べた。

 4月に学力テストを受けアンケートにも答えた後、将来の職業選択をテーマに、記事を読んで感想を発表する授業や気になった記事を切り抜く課題に取り組んだ。12月に再び同じ質問をすると「家庭で計画的に学習している」と答えた児童が増加。家庭での1日の学習時間も総じて30分から1時間伸びた。甲斐氏は「意欲や生活習慣は学力を下支えする重要な指標だ。家庭での学習時間の伸びが見えたことは大きい」と話す。

 新聞協会の関口修司NIEコーディネーターは東京都内の小学校長時代、NIE実践前後の全国学力テストの結果を分析した。国語、算数の両教科で実践後に正答率が上昇。全国の平均点との差を測り検証した。データの客観性、信頼性を高めるには、こうした検証を広げていくことが欠かせないと指摘する。

教委動かし普及に期待 正答率の開示が課題に

 NIE委が描く「見える化」は、効果を客観的な指標で示し、NIEをさらに広げることを目指す。

 関口氏は、NIEはこれまで問題意識や関心を持つ教師の間で草の根的に広がってきたと話す。効果をデータで表すことによって「学校長や教育委員会を動かし、トップダウンでNIEが広がる環境を作りたい」と期待を込める。

 学力テストの結果については、学習意欲や生活習慣に関するアンケートの回答よりも、各教科の正答率を指標にする方が「到達レベルをより客観的に表せるぶん、説得力がある」と指摘する。ただし数字が一人歩きする懸念から、効果検証にテストの正答率を用いることに消極的な学校や教育委員会もあるとみる。「手を挙げてくれるところから、少しずつ広げたい」と語った。柴田氏も、正答率公開については判断が分かれるだろうと予測する。

 甲斐氏は「テストの結果は様々な要因で変わる。NIEはあくまでも要素の一つだ」と話す。正答率よりもアンケート結果を指標とする効果測定の方が、学校・教委側が参加しやすいだろうとも述べた。

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