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実名の意義と削除基準で討議 総務省シンポ ネット上の個人情報巡り

 総務省は12月12日、インターネット上に残るプライバシー関連情報の取り扱いをテーマにしたシンポジウムを東京都港区の会議室で開いた。逮捕歴などに関する検索結果の削除を巡る司法判断が相次ぐ中で、実名報道の在り方や検索事業者の対応について討議した。

 朝日の津山昭英顧問は、ネットに掲載された記事や写真について報道機関は法的責任を負わないものの、一定の配慮をしていると話した。公益性や地域性に照らし「ネットに出さない」「匿名化して配信する」「一定期間で削除する」といった判断をしていると説明した。

 その上で、実名報道の意義をあらためて考えることが必要だと指摘した。千葉大医学生による女性暴行事件では、報道機関が容疑者を実名で報じたことでネット上の犯人探しが収まったとみる。不確かな情報があふれ議論が先鋭化する中で「マスメディアの存在意義はますます大きくなる」と述べた。ネットに残る情報については「『忘れられる権利』を削除の直接の理由にすることには慎重であるべきだ」と強調した。

 東大院の宍戸常寿教授は、7月の東京高裁の決定が「検索結果の削除に関する裁判を考える出発点となる」と述べた。高裁はグーグルの検索結果から逮捕歴に関する記事の削除を求めた男性の申し立てを却下した。「表現の自由および知る権利に大きな役割を果たしている」と認めた検索サービスの重要性と、事実を公表する社会的意義、当事者が被る損害の程度を考慮して判断すべきだと述べた。

 検索事業者も自主基準を設けるなどして対応に当たっている。

 2015年3月に削除基準を定めたヤフーの別所直哉執行役員は、16年4月からの5か月間で2581件の削除要請を受け、犯罪歴やプライバシーにかかわる1096件について記事を検索表示から外したと述べた。確定したばかりの有罪判決に関する記事などは対象外としているという。

 グーグルの野口祐子法務部長は、出版社に記事の差し止めを求めた訴訟で敗訴した男性が、その事実を隠して検索表示削除の仮処分を申し立てた例を紹介。後に明らかになり申し立ては取り下げられたものの、事実関係を把握しきれないケースもあり対応が難しいと述べた。「検索事業者だけでなく、情報流通に携わるさまざまな人が考えなければならない」と語った。

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