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メディアが分断修復を 東大院・矢口教授が米大統領選巡り講演 マス倫月例会

 マスコミ倫理懇談会全国協議会の月例会は12月13日、新聞協会会議室で開かれた。東大院の矢口祐人教授が米大統領選を巡り講演した。客観的な事実より強い印象を与える主張が重視されることを意味する「ポスト真実」という形容詞が注目された背景に、米社会の分断があると指摘した。母国に対し喪失感を抱く白人層の思いを理解することがメディアに求められると述べた。

 米調査機関ピュー・リサーチセンターの調査を基に矢口氏は、リベラルな知識人層とトランプ支持の保守層では接触媒体がほとんど重ならないと説明した。紙媒体の力が低下し、活字を読み熟考する習慣は失われているという。

 SNSの普及により、個人が報道機関と同じようにニュースを配信し、増幅するだけでなく、歪曲(わいきょく)するようにもなった。受け取る側は同じ考えの人としかニュースを交換しない。バズフィードの調べでは8月以降、偽ニュースが主要メディアの報道より多くSNSで回覧された。矢口氏は「正しいか、客観的な事実かは関係なくなっている」と指摘した。

 こうした事象を踏まえ、米社会が事実に依拠した議論が難しくなり、コミュニケーション不全に陥っているとした。多様性の尊重がそれぞれの殻に閉じこもることを許し「社会に分断が生じている」との認識を示した。

 嘘を言うほど「ありのままを言っている」と思うトランプ氏の支持層に「ファクトチェック」は通じないという。「彼らは祖国に『忘れ去られ、置き去りにされる』との強い不安がある」として、米社会の再統合に向け「彼らの『事実』をすくいとらなければならない」とメディアに求めた。

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